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巡り巡りて、今年もこの季節が廻ってきた
甘い甘い、チョコレートに日ごろの気持ちを溶かし、託し──贈り合うバレンタインの季節が今年もカルデアにやってきたのである
「…………」
──む
「………………」
──むむ、
建物内に漂う甘さと熱気から隔絶されたプライベート空間で一人、ルシティカが眉間に皺を刻んでいる
尖った視線を一身に受けるはベッドに寝かせられたラッピング済みのプレゼントボックス、中身は言うまでもなくチョコレート菓子だ
ルシティカ自身もバレンタインの季節を指折り数えて待っていた、いわゆる待機勢というやつだ
出来上がったお菓子をどう渡すか、どんな言葉を添えるか楽しんできた
それが今になってどうしてか彼女を弱気に貶めている、否、どうしても何も、理由なんて彼女が一番分かっている。故に重いため息がこぼれるのを止められない
「今までの私なら、何も考えずに贈り物を渡せたのにな
…何も考えてないのってある意味、だめ?寧ろ今の方が正しかったりするの?」
誰に投げかけるでもない質問は答えを得ることなく、中空に霧散していく
空中庭園で見た二人の男女、華やかでお似合いで、なのに干渉し合わないように。わざわざ口に出さずとも分かり合ってしまうあの二人の関係が羨ましくて仕方がないのである
「うー、もう自分で食べちゃおうかなあ…?!」
一度、弱音に侵された心の回復は難しい。この晴れの日の全てを使いつぶす方がなんと勿体ないことだろう
ラッピングシートに似合うように厳選したリボンを解く為、伸ばされた手──を阻む為、視界をすり抜け、なおルシティカの関心を引くそれに彼女の青々とした瞳がこれでもかと見開いた
「こ、これは…薔薇の黒鍵?!ってことは──」
「──その開封の儀に待ったを
即興の為、予告状の用意は出来ませんでしたが…怪盗天草四郎、ここに見参」
「怪盗さん、今はクリスマスじゃないよ」
「はは、怪盗が現れるのはなにもクリスマス限定ではありませんよ」
「…怪盗さん、私の話を聞いてくれる?」
ノリに乗り切ったコミカルシーンから一転、ルシティカの口調にはシリアスな風味が宿る
先程の質問と同様に明確な返答はない、けれど違うのは怪盗である彼が迷える少女の隣に腰を下ろしたという答えがあることだった。どうやら話を聞いてくれるらしいと息をつく
「このチョコ、私の大好きで大切な人のために作ったの」
「ええ」
「でも渡す勇気がなくって
どうしてもあの人に劣ってしまう自分が嫌になって、彼に見られたくなくて」
「……」
「怪盗さん、もし良かったらこのチョコを盗んでくれませんか?」
「ええ、勿論。貴女の想いの籠った贈り物を盗むため、ここに来たので」
思っていた形は違う、それでも彼に渡せた事に安堵してしまう自分が嫌になる
差し出した贈り物が怪盗の手によって盗まれてしまった、これでいい、これで良かったのだと必死に自分に言い聞かせるルシティカを見透かしたように、頭上でふっと空気が揺れた
「いち怪盗のお節介ですが、貴女の大切な人とやらは今も贈り物を待っていると思いますよ」
「────」
「ふふ」
「……怪盗じゃない、シロウにならあげる
ううん、貰ってほしいの。渡したくないなんて嘘ついてごめんね」
「おや、怪盗への懺悔はもうよろしいので?」
何とも皮肉めいた言葉に思わず、むっとルシティカの眉間にはまたもや皺が刻まれる
けれど反論など出来ない、彼に渡す為に作ったものを他の誰かにあげようとしたのだ。天草から反感を抱かれても文句の言いようがない
「盗んでくれと言われた時はショックでしたが、悪い事ばかりではなかったので大丈夫ですよ」
「ええ~?」
「本当です。…マスターの可愛い嫉妬が見れたことは私にとって、大きな収穫だったので」
醜いとルシティカ自身が思っていた嫉妬を可愛いなどと称する天草の表情に、照れ隠しも含んでクッションがばふり、と突撃してきたのは言うまでもない。
甘い甘い、チョコレートに日ごろの気持ちを溶かし、託し──贈り合うバレンタインの季節が今年もカルデアにやってきたのである
「…………」
──む
「………………」
──むむ、
建物内に漂う甘さと熱気から隔絶されたプライベート空間で一人、ルシティカが眉間に皺を刻んでいる
尖った視線を一身に受けるはベッドに寝かせられたラッピング済みのプレゼントボックス、中身は言うまでもなくチョコレート菓子だ
ルシティカ自身もバレンタインの季節を指折り数えて待っていた、いわゆる待機勢というやつだ
出来上がったお菓子をどう渡すか、どんな言葉を添えるか楽しんできた
それが今になってどうしてか彼女を弱気に貶めている、否、どうしても何も、理由なんて彼女が一番分かっている。故に重いため息がこぼれるのを止められない
「今までの私なら、何も考えずに贈り物を渡せたのにな
…何も考えてないのってある意味、だめ?寧ろ今の方が正しかったりするの?」
誰に投げかけるでもない質問は答えを得ることなく、中空に霧散していく
空中庭園で見た二人の男女、華やかでお似合いで、なのに干渉し合わないように。わざわざ口に出さずとも分かり合ってしまうあの二人の関係が羨ましくて仕方がないのである
「うー、もう自分で食べちゃおうかなあ…?!」
一度、弱音に侵された心の回復は難しい。この晴れの日の全てを使いつぶす方がなんと勿体ないことだろう
ラッピングシートに似合うように厳選したリボンを解く為、伸ばされた手──を阻む為、視界をすり抜け、なおルシティカの関心を引くそれに彼女の青々とした瞳がこれでもかと見開いた
「こ、これは…薔薇の黒鍵?!ってことは──」
「──その開封の儀に待ったを
即興の為、予告状の用意は出来ませんでしたが…怪盗天草四郎、ここに見参」
「怪盗さん、今はクリスマスじゃないよ」
「はは、怪盗が現れるのはなにもクリスマス限定ではありませんよ」
「…怪盗さん、私の話を聞いてくれる?」
ノリに乗り切ったコミカルシーンから一転、ルシティカの口調にはシリアスな風味が宿る
先程の質問と同様に明確な返答はない、けれど違うのは怪盗である彼が迷える少女の隣に腰を下ろしたという答えがあることだった。どうやら話を聞いてくれるらしいと息をつく
「このチョコ、私の大好きで大切な人のために作ったの」
「ええ」
「でも渡す勇気がなくって
どうしてもあの人に劣ってしまう自分が嫌になって、彼に見られたくなくて」
「……」
「怪盗さん、もし良かったらこのチョコを盗んでくれませんか?」
「ええ、勿論。貴女の想いの籠った贈り物を盗むため、ここに来たので」
思っていた形は違う、それでも彼に渡せた事に安堵してしまう自分が嫌になる
差し出した贈り物が怪盗の手によって盗まれてしまった、これでいい、これで良かったのだと必死に自分に言い聞かせるルシティカを見透かしたように、頭上でふっと空気が揺れた
「いち怪盗のお節介ですが、貴女の大切な人とやらは今も贈り物を待っていると思いますよ」
「────」
「ふふ」
「……怪盗じゃない、シロウにならあげる
ううん、貰ってほしいの。渡したくないなんて嘘ついてごめんね」
「おや、怪盗への懺悔はもうよろしいので?」
何とも皮肉めいた言葉に思わず、むっとルシティカの眉間にはまたもや皺が刻まれる
けれど反論など出来ない、彼に渡す為に作ったものを他の誰かにあげようとしたのだ。天草から反感を抱かれても文句の言いようがない
「盗んでくれと言われた時はショックでしたが、悪い事ばかりではなかったので大丈夫ですよ」
「ええ~?」
「本当です。…マスターの可愛い嫉妬が見れたことは私にとって、大きな収穫だったので」
醜いとルシティカ自身が思っていた嫉妬を可愛いなどと称する天草の表情に、照れ隠しも含んでクッションがばふり、と突撃してきたのは言うまでもない。
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