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終局に位置する特異点へ集った英霊達はその役目を終えた、先程まで戦争があったとは思えない程の静けさは逆に耳を劈く様だ
入り口に程近い場所で戦闘に身を捧げ、集った英霊を率い、旗を振り続けたジャンヌに手を引かれながらルシティカは特異点の脱出に駆けていた
思えば、ずっとジャンヌは自分の手を引き続けてくれた。マスターとしてではなく、一人の友人としてルシティカを案じ、彼女が生きる為の未来を取り戻す為に戦ってくれた
どこまでも優しく、人の可能性を信じてくれた人、そんな人だから――このままではいけないのだとルシティカは、ジャンヌの手を解いた
「マスター…?」
俯くルシティカにジャンヌの表情は分からない、けれど声色からして突然、繋いでいた手を離された事に驚きと困惑している様だった
本当はもっと早くに手を解かなければいけなかった、でも出来なかった。未熟なルシティカにはジャンヌの力が必要だったから
一呼吸置き、ルシティカは顔を上げる。どこまでも真っ直ぐに自分と瞳を重ねてくれるジャンヌの瞳はとても凛として美しくて、自分もそうなれたら、と何度憧れた事だろう
「ルーラー、ジャンヌ・ダルク」
自分も今、凛としていられるだろうか
彼女が誇れる様なマスターに、最後になれただろうか
「私達の契約を、終わりにしよう」
「え…?」
それは生前、聖女と崇めながらも、最期には彼女を魔女と罵って裏切った人々と同じ様な唐突さだった
でもここしかないと思ったのだ、カルデアの管制室が自分に構っていられない状況でないと、きっとこの選択に意義を立てられてしまうから
「何故、です?理由を聞かせて下さい」
「…ジャンヌは私が生きる未来を取り戻そうとしてくれた、今だってそう
未来の世界には沢山の幸せと出会いがあるって貴女は教えてくれた。いつだってジャンヌは私や他の人達を信じて、未来へ生かそうとしてくれた。…だから、もういいんじゃないかなって」
「何がいいと感じたのですか?」
「今度は、ジャンヌが自分の願いを…約束を叶えて」
「私の…願い…?約束…?……!」
「ずっと、探してるんでしょう?”彼”の事」
何度か聞いた事がある、ある一人の少年の物語であり、天草とジャンヌが敵対した聖杯大戦の物語
自分にその物語を話してくれる時のジャンヌの表情は自分では隠しているつもりなのだろうが、バレバレで
「私はもう大丈夫!だから、もう行って
そして見つけてあげて、ジャンヌが恋した人を」
泣くな、泣くなと必死に自分に言い聞かせる
泣いてしまえば、これが強がりだと思われてしまうから
「――その人にまた会う事が出来たら、もう二度とその人の手を掴んで離しちゃだめだよ」
強く抱きしめられたせいで胸が苦しくて、涙が溢れた
「ね、約束だよ」
「はい」
「絶対に、隣を二度と離れないであげてね」
「はい…!」
「どんなに時が経っても、ジャンヌなら辿り着けるから、どうか諦めないで」
「…っ」
いつでも彼女は自分を信じてくれた、だから今度は自分が信頼を返す番
きっと並大抵では辿り着けない場所、途方もない時がかかるであろう旅。でも大丈夫、だって彼女が言ったのだから。絶望の後には、希望が待つと
「こんなに胸が満ち足りて、希望に溢れた別れもあるのですね
貴女と戦い続けて、ここまで来る事が出来て初めて知りました。ありがとう、ルシティカ」
貴女の未来が光り輝くものでありますように――
「シロウ、暫く部屋の外にいてくれる?」
「…出来ません。一人で行き場のない感情を抱えようとする貴女を見て見ぬフリなんか、俺には出来ない」
「…もう、かっこつけたのにこんなんじゃ、笑われちゃう」
「笑いませんよ。――頑張りましたね、ルシティカ。でも、もういいんじゃないですか?」
「…いい、かなぁ…?」
「ここにはもう、俺しかいないから」
どうか、どうか、明日にはまた笑ってみせるから、
あなた達が残してくれた、私に見せたかった世界で笑うから――今だけは、涙を流す事を許して欲しい
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