小ネタまとめ
夏休み中である8月18日。武藤遊戯は自分の幼なじみである真崎杏子の自宅前で深呼吸をした。
今日はその大切な幼なじみの誕生日で、遊戯は杏子にプレゼントを渡すべく彼女の家までやってきたという訳だ。
杏子、喜んでくれるかな。女の子の趣味なんて全然分からないから小さいぬいぐるみになっちゃったけど…。
それにしても皆ヒドイよな~。全然相談に乗ってくれないんだもん。もう一人のボクはこういうの疎いし、城之内くんなんて、『自分が貰って嬉しいモン渡しときゃいいって。杏子ならラーメンが好きだから半額券とかでいいんじゃね?』だもん…。そりゃボクなら嬉しいけど女の子にそれはあんまりだ。
いくら親友のアドバイスでもあれは参考にならないなと遊戯が思い返していると、約束していた時間になったのか、家の扉をガチャリと開けて杏子が外に出てきた。
「! あ、杏子っ!! たた誕生日おめでとう…!!」
回想に気を取られ、心の準備が出来なかった為に口が回らなかった。恥ずかしさと緊張でギュッと目を閉じると、ドキドキと鳴る心臓の音を余計に感じる事となる。
「遊戯! …ありがとう」
杏子は差し出されていたプレゼントを嬉しそうに受け取り、遊戯がゆっくりと彼女を見上げるとにっこりと微笑みかけた。
「遊戯に誕生日祝って貰えて、凄く嬉しいわ。大切にするわね」
杏子の言葉に照れた遊戯だったが、ふと開いたままの扉の向こうに他の人から貰ったのであろうプレゼントを見つけてしまった。
あ、あれって薔薇の花束ぁ!? …ボクより先に杏子の誕生日を祝った人がいたんだ。それにしても、誕生日に真っ赤な薔薇の花束なんてキザすぎるよ! 何かボク、負けた気分…。
こんなキザな事するなんて一体誰…って、もしかしたらもう一人のボクなんじゃないの!? …有り得る! こういうイベントに疎そうな顔して、サラッとやってのけそうだし…!!
「ね、ねぇ、杏子。あそこにある花束って、もう一人のボクから…?」
「え、もう一人の遊戯? 違うわよ」
「えっ、そうなの? 他にこんなキザな事する人なんて…。…あっ、御伽くんだ!」
「それも違うわ。アキちゃんよ」
「…アキちゃん?」
「そう。十六夜アキちゃん」
「えぇぇぇぇ!?」
流石、(黒)薔薇の魔女!と心の中で突っ込みながら、遊戯は彼女になら負けても仕方ないかなぁとぼんやり思ってしまった。
終
今日はその大切な幼なじみの誕生日で、遊戯は杏子にプレゼントを渡すべく彼女の家までやってきたという訳だ。
杏子、喜んでくれるかな。女の子の趣味なんて全然分からないから小さいぬいぐるみになっちゃったけど…。
それにしても皆ヒドイよな~。全然相談に乗ってくれないんだもん。もう一人のボクはこういうの疎いし、城之内くんなんて、『自分が貰って嬉しいモン渡しときゃいいって。杏子ならラーメンが好きだから半額券とかでいいんじゃね?』だもん…。そりゃボクなら嬉しいけど女の子にそれはあんまりだ。
いくら親友のアドバイスでもあれは参考にならないなと遊戯が思い返していると、約束していた時間になったのか、家の扉をガチャリと開けて杏子が外に出てきた。
「! あ、杏子っ!! たた誕生日おめでとう…!!」
回想に気を取られ、心の準備が出来なかった為に口が回らなかった。恥ずかしさと緊張でギュッと目を閉じると、ドキドキと鳴る心臓の音を余計に感じる事となる。
「遊戯! …ありがとう」
杏子は差し出されていたプレゼントを嬉しそうに受け取り、遊戯がゆっくりと彼女を見上げるとにっこりと微笑みかけた。
「遊戯に誕生日祝って貰えて、凄く嬉しいわ。大切にするわね」
杏子の言葉に照れた遊戯だったが、ふと開いたままの扉の向こうに他の人から貰ったのであろうプレゼントを見つけてしまった。
あ、あれって薔薇の花束ぁ!? …ボクより先に杏子の誕生日を祝った人がいたんだ。それにしても、誕生日に真っ赤な薔薇の花束なんてキザすぎるよ! 何かボク、負けた気分…。
こんなキザな事するなんて一体誰…って、もしかしたらもう一人のボクなんじゃないの!? …有り得る! こういうイベントに疎そうな顔して、サラッとやってのけそうだし…!!
「ね、ねぇ、杏子。あそこにある花束って、もう一人のボクから…?」
「え、もう一人の遊戯? 違うわよ」
「えっ、そうなの? 他にこんなキザな事する人なんて…。…あっ、御伽くんだ!」
「それも違うわ。アキちゃんよ」
「…アキちゃん?」
「そう。十六夜アキちゃん」
「えぇぇぇぇ!?」
流石、(黒)薔薇の魔女!と心の中で突っ込みながら、遊戯は彼女になら負けても仕方ないかなぁとぼんやり思ってしまった。
終