小ネタまとめ

遅くなる、とは伝えていたのだが、思ったよりも帰りが遅くなってしまった。
もう寝ているだろうか。と思いながら、夜の中を歩く。

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「ただいま」
「…んーー」
おかえり、という事なのだろう。寝てはいなかったが、相棒は眠りの淵へと片足を突っ込んでいた。
小さなコタツに突っ伏したまま、その中でモゴモゴと身体を寄せる。隣に来い、という意思表示に苦笑した。
「相棒、眠いんだろ。寝ててもいいって言っておいたのに、待っててくれたんだな」
「やだー。早くー」
余程眠いのだろうか。返ってくる言葉が端的すぎるのにもまた苦笑した。
「外から帰ってきたばかりだから駄目だぜ。隣には行けない」
「うー。…何で?」
「体が冷えてるから、そばに行ったら相棒にまで寒い思いさせちまうだろ。…ほら、こんな所で寝てたら風邪引くぜ」

隣に座る気は無いが、動く気配のない相棒を促す為に傍まで歩み寄る。
「…えいっ!」
「なっ!?」
それまでコタツの机に突っ伏したままだった相手がいきなり顔を上げ、ぎゅっと抱き着かれたかと思うと引き寄せられ、そのまま相棒の隣に倒れ込んでしまった。
「相棒…」
「う~、寒いー」
「だから言ったろ、冷えてるって。分かったら離してくれ」
「絶対ダメ。君が寒いなら、ボクが温めてあげるんだから」
しまった、と思った。不用意に自分の体が冷えているなんて言わなければ良かった、と。
自分の決めた事は貫き通す相棒だから、暫くはオレを離してくれないだろう。
「……」
こんな所で寝るのは良くないと分かっていながら、オレを包み込む相棒の温かさと柔らかさに瞼が重くなるのを感じる。

一足先に寝息を立て始めた相棒の顔を見ながら、その額に軽くキスを落とした。
「全く、お前には敵わないな…」
おやすみ、相棒。
そう言えたかどうかも定かでないまま、追いかけるように眠りについた。


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