体感温度、上昇。


こんなに暑い日に、一体何を考えてるんだろうって思う。
夜になって幾らか過ごしやすい気温になったと思っていたのに、そもそもここはボクの心の部屋なのだから、いつだって快適な空間だと思っていたのに、もう一人のボクときたらその右手をボクの首からほっぺたにかけてピッタリと添え、熱を含んだ視線を投げかけてくる始末。
どう反応したらいいのか分からずに見つめ合ったまま、ボクには何時間にも感じられる数分が経過している。
「相棒。…今、何考えてる?」
「………暑いなぁって思ってるよ」
やっと口を開いたかと思えばボクを試すような口ぶりで。
薄く笑みを浮かべたその顔でボクを覗き込む君は、時々すごく意地が悪い。
「ウソつくなよ」
「…ウソじゃないよ」
そう返すと、更に口角を上げて笑う君。
「じゃあ、離れるぜ?」
…この手を離す気なんか無いくせに。そんな事は分かっていながら、ボクが取るべき行動が一つなのが悔しい。
「それは…ヤダ」
そう言って彼の手に重ねた自分の手が熱を帯びていたのも、全部夏のせいだって事にしておこう。


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