遊戯さん達が同棲を始めるようです


「で? 何だよ、お前ら。話って…」
喫茶店で二人の遊戯を前にしながら、城之内は切り出した。
「聞いてよ城之内くん! この前、"高校卒業したらもう一人のボクと一緒に住む所探してるんだ"って話したでしょ?」
「いい物件を紹介して貰ってな、無事に決まったんだ」
「マジかよ!」
「うん。だから城之内くんには真っ先に報告したくって! ね、もう一人のボク」
「あぁ」
「お前ら…!!」
向かいに座った二人の頭を、城之内は嬉しそうにわしゃわしゃと撫でた。
「良かったな、いいトコ見つかってよ!」
「えへへ。引越しが済んだら遊びに来てね」
「おぅ!」
「家賃が安い割には部屋も広いんだ。泊まりに来てくれたっていいぜ!」
いい笑顔を見せる遊戯と《遊戯》。城之内も、まるで自分の事のように嬉しくなり笑うが、ちょっとした興味を引かれて聞く。
「家賃安いって、いくらなんだよ」
「「2万」」
「はっ!?」
「3DKで2万は安いよね~」
「3DK!? いやいやいや、安すぎだろ!ありえねーだろ!!」
「どうしたんだ、城之内くん。顔色が悪いぜ」
「なぁ、遊戯。その部屋ヤベェよ。ぜってー何か居るって!」
「大丈夫だよ。御札も一枚しか貼ってなかったもん。ね、もう一人のボク?」
「あぁ。だから安心して遊びに来てくれ」
「ほら、やっぱりぃぃぃ! 貼ってあんじゃねぇか、モロじゃねぇか!」
ガタガタと自分の座る椅子にしがみつく城之内。
「も~、ホントに大丈夫だってば。何かあっても、もう一人のボクが傍に居るんだからさ」
「それって何か解決した事になんのか!?」
「相棒、オレだって同じだぜ。お前が隣に居てくれさえすれば、恐いものなんて何もないんだ」
「ちょ、聞いてる!?」
「…もう一人のボク!!」
「相棒!!」
抱き合う二人。
「お前らのその揺るぎない絆なんなの!?」
「「愛だぜ!!」」
ドン☆
「うるせーー!! とにかくオレは行かねーから! ぜってー行かねぇからなー!!」
悲痛な叫びを上げつつも、城之内には自分が面白がる獏良達に無理矢理連れて行かれる未来のビジョンが見えた。


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