遊戯さん達の夏休みが明けたようです
「ふあぁ~…」
「……」
昼休み。屋上で昼食を摂っていた二人の遊戯が同時に欠伸をした。
一人は大口を開けて、もう一人は噛み殺すようにしたその光景を、一緒に居た城之内、本田、御伽が珍しそうに見つめた。遊戯はともかく、もう一人の遊戯が欠伸をする姿など滅多な事では見られない。
「おー。何だ何だ二人共。最近、眠そうじゃねーか」
「そうなんだよ、城之内くん。ほら、この前まで夏休みだったでしょ?」
「あぁ」
「休みの間中、ボクらお互いの家に泊まる事が多くてさ。だからあんまり寝てないんだ」
「……は?」
何だか信じられない言葉を遊戯から浴びせられた気がして、城之内は固まった。二人の遊戯がいわゆる恋人同士という関係である事は、暫く前に遊戯から聞いて知っている。本田達にも二人が伝えたのかどうかは知らないが、態度から察するに本田や御伽、それにこの場には居ないが獏良も、二人が付き合っているという事は分かっているのだろう。…いや、今はそんな話はどうでもいい。城之内が思い描いていた二人の関係は、恋人同士と言ってもせいぜい友人の延長線、手を繋ぐ程度…進んでもキスまでかと踏んでいた。だが、その二人が休みの間に互いの家に泊まり、寝不足だと言う。…それってつまり、行く所まで行っちゃってんじゃねーの!?
「相棒、それじゃ説明不足で誤解を生みかねないな」
「…えっ?」
城之内と同じように固まった本田、そして冷やかすように口笛を吹いた御伽を見て、遊戯はやっと事態を把握した。
「えっ、あっ…ちょっ…! 違うからね!? そ、『そーいう事』で寝てないんじゃないよ!?」
「そうだぜ。ただオレが、相棒の肌に触れていないと眠れなくなっただけだ」
「君の言い方もどうかな!!」
---
「あれぇ? 何だか、いつもより賑やかだね」
暫くして、獏良が購買で買ったパンを手に屋上にやってきた。何やらギャーギャーと騒いでいる二人の遊戯と城之内を横目に、本田と御伽の間に腰を下ろす。
「あぁ、遅かったな。獏良」
「思ったより購買混んでてねー。で、どうしたの? あの三人は」
「遊戯くん達のピロートークについて、熱く語っているのさ」
「ぶっ…!」
とんでもない御伽の発言に、本田が飲んでいたお茶を噴き出す。
「ピロートーク? …あぁ、単語そのままの枕の話かぁ。そういえば遊戯くん、ここ暫く眠そうだったもんね。大方、お互いを枕代わりにしてた二人が、普通の生活に戻ってから一人じゃ眠れなくなった…って所かな?」
「その通り。枕が変わると眠れない人って居るよね」
「御伽お前! ピロートークとか紛らわしい言い方すんじゃねーよ! そんで獏良も、一瞬で物事を理解するその洞察力すげーな!?」
あはは、と笑う獏良の後ろでは、未だ変わらずに遊戯と城之内達が騒いでいる。
「城之内くんには分からないかもしれないが、相棒の肌の弾力とその気持ちよさと来たら、他の追随を許さないぜ! 一度抱きしめて眠ってしまったが最後、もう他の枕なんかじゃ眠れないんだ!!」
「お、おぅ…?」
「ギャー! もうやめてよ、もう一人のボク~!!」
「ホントはオレ以外の人間に触って欲しくないんだが、城之内くんなら仕方ない! 相棒のほっぺたのぷにぷに具合を確かめてくれ。触ればきっとオレの気持ちが分かるぜ!」
「ちょっ、親指立てて何言ってんの!?」
残り少ない昼休み。屋上では真っ赤になった遊戯の叫びと《遊戯》の力説、戸惑った城之内と本田の声と、イケメンと美少年の笑い声が響いていた。
終
「……」
昼休み。屋上で昼食を摂っていた二人の遊戯が同時に欠伸をした。
一人は大口を開けて、もう一人は噛み殺すようにしたその光景を、一緒に居た城之内、本田、御伽が珍しそうに見つめた。遊戯はともかく、もう一人の遊戯が欠伸をする姿など滅多な事では見られない。
「おー。何だ何だ二人共。最近、眠そうじゃねーか」
「そうなんだよ、城之内くん。ほら、この前まで夏休みだったでしょ?」
「あぁ」
「休みの間中、ボクらお互いの家に泊まる事が多くてさ。だからあんまり寝てないんだ」
「……は?」
何だか信じられない言葉を遊戯から浴びせられた気がして、城之内は固まった。二人の遊戯がいわゆる恋人同士という関係である事は、暫く前に遊戯から聞いて知っている。本田達にも二人が伝えたのかどうかは知らないが、態度から察するに本田や御伽、それにこの場には居ないが獏良も、二人が付き合っているという事は分かっているのだろう。…いや、今はそんな話はどうでもいい。城之内が思い描いていた二人の関係は、恋人同士と言ってもせいぜい友人の延長線、手を繋ぐ程度…進んでもキスまでかと踏んでいた。だが、その二人が休みの間に互いの家に泊まり、寝不足だと言う。…それってつまり、行く所まで行っちゃってんじゃねーの!?
「相棒、それじゃ説明不足で誤解を生みかねないな」
「…えっ?」
城之内と同じように固まった本田、そして冷やかすように口笛を吹いた御伽を見て、遊戯はやっと事態を把握した。
「えっ、あっ…ちょっ…! 違うからね!? そ、『そーいう事』で寝てないんじゃないよ!?」
「そうだぜ。ただオレが、相棒の肌に触れていないと眠れなくなっただけだ」
「君の言い方もどうかな!!」
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「あれぇ? 何だか、いつもより賑やかだね」
暫くして、獏良が購買で買ったパンを手に屋上にやってきた。何やらギャーギャーと騒いでいる二人の遊戯と城之内を横目に、本田と御伽の間に腰を下ろす。
「あぁ、遅かったな。獏良」
「思ったより購買混んでてねー。で、どうしたの? あの三人は」
「遊戯くん達のピロートークについて、熱く語っているのさ」
「ぶっ…!」
とんでもない御伽の発言に、本田が飲んでいたお茶を噴き出す。
「ピロートーク? …あぁ、単語そのままの枕の話かぁ。そういえば遊戯くん、ここ暫く眠そうだったもんね。大方、お互いを枕代わりにしてた二人が、普通の生活に戻ってから一人じゃ眠れなくなった…って所かな?」
「その通り。枕が変わると眠れない人って居るよね」
「御伽お前! ピロートークとか紛らわしい言い方すんじゃねーよ! そんで獏良も、一瞬で物事を理解するその洞察力すげーな!?」
あはは、と笑う獏良の後ろでは、未だ変わらずに遊戯と城之内達が騒いでいる。
「城之内くんには分からないかもしれないが、相棒の肌の弾力とその気持ちよさと来たら、他の追随を許さないぜ! 一度抱きしめて眠ってしまったが最後、もう他の枕なんかじゃ眠れないんだ!!」
「お、おぅ…?」
「ギャー! もうやめてよ、もう一人のボク~!!」
「ホントはオレ以外の人間に触って欲しくないんだが、城之内くんなら仕方ない! 相棒のほっぺたのぷにぷに具合を確かめてくれ。触ればきっとオレの気持ちが分かるぜ!」
「ちょっ、親指立てて何言ってんの!?」
残り少ない昼休み。屋上では真っ赤になった遊戯の叫びと《遊戯》の力説、戸惑った城之内と本田の声と、イケメンと美少年の笑い声が響いていた。
終
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