私はヒロインじゃない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おっと、悪ぃ。」
男性とぶつかってしまって、持っていたジュースの缶を落してしまった。
「いいえ、此方こそ申し訳ありま・・」
ここで、私の声は止まる。
止まると同時に、目の前にいる人物が信じられなかった。
「ん?譲ちゃんどうかしたか??」
黒いサングラス、黒のくせがある髪・・・。
「お、おい?!どうしたんだよ?!!」
焦ったような彼。
私は滲む視界で、訳が分からずにただ呟いてしまった。
「・・松田さん・・」
爆弾で亡くなったはずの松田陣平がいたのだ。
『 爆破直前飛び降り 重態 』
『 松田陣平(26) 死亡 』
新聞に取り上げられた記事。
あの時も・・萩原研二のときもそうだった。
何日も繰り返す時。
一縷の望みをかけて匿名の電話を掛けた。
結局新聞の見出しに載った死亡の文字。
助けられなかった彼がいるのは・・何も出来なかった私が空想した幻か、夢か・・・。
目を見開いている彼の顔に手を伸ばす。
触れた頬は・・・確かに温かかった。
「藤田、ゼロ3に変更だ。」
新たな声が聞こえた。
その男性・・彼の顔も、私は忘れることのない人。
「・・は・・萩原さん?・・」
「「?!」」
二人が息を呑むのが分かった。
「・・こりゃ驚いたな。」
「あ~、色々想定外だけどゼロの勘も伊達じゃないな。」
ゼロ、ソレは降矢零を表すのだろう。
頭が追いつかない、ここにいる二人は・・本物なのだろうか?
「お譲ちゃん、悪いが一緒にきてもらうぞ。」
掴まれた手。
「え・・・こ、困ります!」
混迷している思考回路で、ただ拒否を口にだしていた。
ドシュ!!
手を掴んでいた松田さんへ飛んでいったのは、ものすごい勢いのサッカーボール。
「うお?!あ、あっぶねぇ?!!」
「蘭!!!」
叫んだその先にいたのはコナン君。そして・・・。
「ッく!」
「ほー・・今のを受け流すなんて、中々の腕ですね。」
萩原さんへ蹴りを繰り出して、眼鏡を上げたのは沖矢さんだった。
コナン君がサッカーボールを蹴ったのと同じくしてでてきたのだろう。
威圧間を感じるのは、気のせいではない。
ぴりぴりとする一同に、私は焦った。
松田さんと萩原さんは生きていた。そして降矢さんが関わっているということは、当人たちの可能性が大きい。
FBIと公安は協力関係ではないのだ。
彼の正体がここでばれてしまえば・・コレから先がどうなるか分からない。
「も、申し訳ありませんでした!!」
私は精一杯の声で謝罪して一礼した。
突然の謝罪に四人の目が此方に向う。
「この人たちは何も悪くないんです!私が不注意でぶつかってコーヒーの缶落しちゃって、お茶に誘われただけで、私が悪いのでお断りしていたところなんです!重ね重ね申し訳ありませんでした!」
驚いているうちにコナン君と沖矢さんの手を掴んで私は逃げた。
全員がポカンとしている間に・・・どうにか彼らを引き離すことができた。
我に返った二人になぜか危機感が足りないとお説教され、松田さんと萩原さんが変質者扱いされてしまったのは・・・本当に申し訳なかった。
でも、私は始めて知った事実に希望を抱いた。
死んだはずの彼らが生きていたことに・・・・。
今は、許してください。
多くの人を助けられなかった、無力な罪深い私に。
今だけは、二人が生きていたことを喜ばせてください。
「二人とも本当に毛利蘭とは関わりがなかったのか。」
毛利蘭を連れてくることがかなわなかったが、重要な事実がいくつか分かった。
「明らかにあの様子はお前らを知ってる。そのうえ、あの爆弾事件を知っていて尚且つお前達が死んだと思っていた。」
「爆弾事件の関係者にいないぜ。毛利の父親も刑事だったが七年前にはもう刑事辞めてたからな・・・。」
「そうだ。それに、七年前じゃあの子も十歳。三年前でも十四歳くらいだ。そんな子関わった覚えないぞ。」
二人ともまるで心当たりがないようだ。
「爆弾事件で何か記憶に残っていることはないのか?」
何か、必ずあるはずだ。
毛利蘭につながるだろう何かが。
「記憶って~言われてもな。あの事件仲間割れしたかなんだか知らんが俺の方の爆弾処理してる最中に一旦非難命令出たんだ。命令聞いて離れたら・・ドカン!」
「ヘリウムガスを吸ったような声で、警察宛に操作で爆発させるぞってやつだろ?一個目の爆弾どちらかをとめたらもう一個を遠隔操作させるって、アレがなきゃ萩原は死んでたな。」
「一人の犯人は逃走中に事故で死んだんだったな。ソイツが仲間割れした末のものだとしたら、敵討ちみたいに松田がやばかった三年前の爆弾事件は起きなかったはずだ・・・」
だとしたら考えられるのは・・・。
「「他にもう一人いた」」
「そういや・・米花中央病院で爆弾らしきものを見つけたって電話・・そういや通報者女だったな。しかも、結局みつからなかった。」
「その女性が第三者か。」
爆弾犯の仲間・・・か。
ピピピ・・ ピピピ・・・
電子音。
メールが届いていた。
其処には今まさに話しあっていた爆弾犯がまた動き出したといもの。
「・・この女性があの女子高生とどうつながっているか分からんが、犯人が捕まれば何かわかるか。」
11月7日の爆弾事件は、私の認知しないところで終わっていた。
試験中であった中で確かにパトカーの音は聞こえていて、気にはなっていたが・・爆弾は主人公であるコナン君たちが止めたのだろう。
松田陣平・萩原研二・降矢零・・この三人はまた接触してくるのだろうか?