2人の旋律
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だが──
「さっきはこうやってたような? こうで、こう?」
「それはなぞるって言わねえ。手の角度をもっと柔らかく」
「うーん……じゃあ、こう?」
「悪くない、恐らく合ってる」
「やっぱりあたしセンスあるでしょ」
「調子に乗るな、あの王子サマに散々言われるぞ」
やはりぎこちない。しかし、噛み合ってる。お互いに不器用なくせに、俺の指示がなければステップさえも踏めないくせに、何故か成立してしまっている。
「……なるほどな。そりゃ、相手が俺でも何となくダメになるわけだ」
ため息とも、笑いともつかない声が口から漏れる。先程の練習で、俺と共にステップを踏むロゼの酷いぎこちなさはここから発生していたのだ。
王子時代、完璧なステップを教え込まれた俺の目から見れば、あれは到底舞踏とは言い難い。子供の頃、鬼の形相で指導してきた先生が、ふと脳内に浮かぶ。あんなものを見れば、気絶して泡を吹いてしまうかもしれない。それでも、彼らはもう既に〝ペア〟となっている。
そういうことなんだろう、と俺は思う。必要なのは技術ではない、感情でもない。2人を包んでいるのは確かに通じ合ってる空気だけだ。
ダンスとは、そういうものでもあるのだ。
「……はぁ。俺の指導、いらなさそうだな」
誰にともなく呟いて、俺は静かにその場を離れた。背後ではまだ、『わっ、また踏んだ!』『踏まれた!』なんてはしゃぐ声が飛び交っている。
きっとあの2人は、たとえ踊りを失敗しても手だけは離さない。転ぼうと何があろうと、2人のステップを歩んでいく。その事実が、誰よりも強い完成形となるのかもしれない。
何より俺にとって、普段無愛想な団長の笑顔が見れたことが、この上なく嬉しかったのだった。
「さっきはこうやってたような? こうで、こう?」
「それはなぞるって言わねえ。手の角度をもっと柔らかく」
「うーん……じゃあ、こう?」
「悪くない、恐らく合ってる」
「やっぱりあたしセンスあるでしょ」
「調子に乗るな、あの王子サマに散々言われるぞ」
やはりぎこちない。しかし、噛み合ってる。お互いに不器用なくせに、俺の指示がなければステップさえも踏めないくせに、何故か成立してしまっている。
「……なるほどな。そりゃ、相手が俺でも何となくダメになるわけだ」
ため息とも、笑いともつかない声が口から漏れる。先程の練習で、俺と共にステップを踏むロゼの酷いぎこちなさはここから発生していたのだ。
王子時代、完璧なステップを教え込まれた俺の目から見れば、あれは到底舞踏とは言い難い。子供の頃、鬼の形相で指導してきた先生が、ふと脳内に浮かぶ。あんなものを見れば、気絶して泡を吹いてしまうかもしれない。それでも、彼らはもう既に〝ペア〟となっている。
そういうことなんだろう、と俺は思う。必要なのは技術ではない、感情でもない。2人を包んでいるのは確かに通じ合ってる空気だけだ。
ダンスとは、そういうものでもあるのだ。
「……はぁ。俺の指導、いらなさそうだな」
誰にともなく呟いて、俺は静かにその場を離れた。背後ではまだ、『わっ、また踏んだ!』『踏まれた!』なんてはしゃぐ声が飛び交っている。
きっとあの2人は、たとえ踊りを失敗しても手だけは離さない。転ぼうと何があろうと、2人のステップを歩んでいく。その事実が、誰よりも強い完成形となるのかもしれない。
何より俺にとって、普段無愛想な団長の笑顔が見れたことが、この上なく嬉しかったのだった。