ゆめ
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嫌になるほど真っ白な部屋は、重たい沈黙で満ちていた。呼吸ひとつひとつが苦しくて逃げ出したくなるようなこの部屋から、こいつを連れて出られたら。そんなことを考えながら夢子の方をちら、と見遣る。
「凛くん…」
最近は虚空を見つめていることの多かった瞳が珍しく俺に向けられ、不意のことに少し動揺する。この瞳がキラキラと輝いていたのは、もう随分と前のことだ。
「、どした?」
力を無くした瞳は、それでも俺を捉えると慈愛の笑みを浮かべた。俺のこと好きすぎだろ、そう言って笑ってやりたいのに、口にしようとするとどうしようもなく胸いっぱいに切なさがこみ上げて、どうにも口にすることができないでいる。
「最期に…なまえ、呼んで」
夢子の言葉に、目を見開く。サッと血の気が引いた。
「うっせー…最期なんかじゃねーよ」
さいご?さいごってなんだよ。名前なんかこれから先何度でも呼んでやるし。さいごっておかしいだろ。
「おねがい…」
「黙れ」
咄嗟に出た拒絶の言葉は、鋭利さを多分に含んで夢子を傷つける。だけど終わりなんて、とても受け入れられない。
「凛くん…」
いつからか忘れた、ここに来ると繋ぐようになった手は、日に日に握り返す力が弱まっていた。その手が、思いの強さを伝えるようにきゅっと握られる。
「…最期なんかじゃねーけど、よく聞いとけ」
夢子、
言いたいことはたくさんあった。だけどどれも喉の奥に詰まってひとつも出てきやしない。いっそのこと、詰まった言葉で窒息できたら。夢子の頬をひと粒の涙が滑り、別れを惜しむようにゆっくりと瞼が落ちた。
握りしめた手から力が抜けたことも、それが急速に冷えていくことも、とても理解なんてできなかった。自分の熱をわけてやりたくて、握る手にきつく力を込めた。痛いよって笑え、
「くぬ、ふらー…」
「凛くん…」
最近は虚空を見つめていることの多かった瞳が珍しく俺に向けられ、不意のことに少し動揺する。この瞳がキラキラと輝いていたのは、もう随分と前のことだ。
「、どした?」
力を無くした瞳は、それでも俺を捉えると慈愛の笑みを浮かべた。俺のこと好きすぎだろ、そう言って笑ってやりたいのに、口にしようとするとどうしようもなく胸いっぱいに切なさがこみ上げて、どうにも口にすることができないでいる。
「最期に…なまえ、呼んで」
夢子の言葉に、目を見開く。サッと血の気が引いた。
「うっせー…最期なんかじゃねーよ」
さいご?さいごってなんだよ。名前なんかこれから先何度でも呼んでやるし。さいごっておかしいだろ。
「おねがい…」
「黙れ」
咄嗟に出た拒絶の言葉は、鋭利さを多分に含んで夢子を傷つける。だけど終わりなんて、とても受け入れられない。
「凛くん…」
いつからか忘れた、ここに来ると繋ぐようになった手は、日に日に握り返す力が弱まっていた。その手が、思いの強さを伝えるようにきゅっと握られる。
「…最期なんかじゃねーけど、よく聞いとけ」
夢子、
言いたいことはたくさんあった。だけどどれも喉の奥に詰まってひとつも出てきやしない。いっそのこと、詰まった言葉で窒息できたら。夢子の頬をひと粒の涙が滑り、別れを惜しむようにゆっくりと瞼が落ちた。
握りしめた手から力が抜けたことも、それが急速に冷えていくことも、とても理解なんてできなかった。自分の熱をわけてやりたくて、握る手にきつく力を込めた。痛いよって笑え、
「くぬ、ふらー…」