ゆめ
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ずっと、自信がなかった。
仁王くんのことを好きな女の子なんてそれそこ無数にいて、かわいい子も綺麗な子もたくさんいる。なんでわたしなんかと付き合ってくれたんだろう。そう、思わないほうが難しい。
例えば部活終わりのみんなとの帰り道。わたしはひとりモタモタして、仁王くんが呼んでくれるのをひっそり待ってる。呼んでもらえないと近付くことすらできないなんて、彼が知ったら呆れちゃうかな。
「夢子、はよ」
「あ、うんっ」
みんなと歩き出していた仁王くんが、わざわざわたしを振り返ってくれる。存在を気にかけてくれた、それだけで幸せで胸がぎゅっとなった。
帰宅メンバーはテニス部レギュラーと、わたし。それから、丸井の連れている女の子。女の子はいつも違う子だけれど、誰もが堂々と丸井の隣を腕を組んだり手を繋いだりして歩いている。仁王くんの二歩後ろを歩くわたしは、なんだか惨めな気持ちになって歩くペースを落とした。
仁王くん、こっち向いて。
「夢子はほんに歩くのが遅いのう」
浅はかな願いが届いたのだろうか、仁王くんが立ち止まり、わたしの右手を攫った。軽く握られたその手を握り返せない自分に心底嫌気がさす。仁王くんの気持ちを信じられないわけじゃない。だけど、それとこれとは話が別なのだ。
「…ゆっくり慣れればええ」
「、え?」
「俺はいつまでも待っとるきに、いつか自信を持って俺の隣に立ちんしゃい」
軽く握られていた手が、きゅっと強く握り直された。
「き、気付いてたの、、?」
「こばやしのことなら何だってわかる」
仁王くんは自信たっぷりに口角を吊り上げた。嬉しさと申し訳なさがぐちゃぐちゃになって胸の中を暴れ回り、涙が頬を滑った。
「ご、ごめんなさい」
「ん?」
なに泣いとるんじゃ、そう言って頬に触れる仁王くんは、少し屈んでわたしと目線を合わせてくれている。仁王くんの優しさに、涙が次々と溢れて止まらない。
「嫌な気持ちにさせちゃって、ごめんなさい」
「嫌な気持ちになんかなっとらんよ。臆病な子猫を餌付けしとるみたいで俺は楽しい」
「なにそれ…」
むすっとして軽く俯く。照れ隠しも少しあった。
「なあ、夢子」
頬にあった手が顎へと滑り、上を向かされた。
「夢子の自己評価がどれほどかは知らんが、俺の夢子への評価は俺が決める。おまんが勝手に推し量って無駄な遠慮すること無か」
そう言った仁王くんは今までで一番真剣な表情をしていて、その言葉を信じても大丈夫なんだと思えた。
だからこそ今、聞かなきゃいけないと思った。
「仁王くんはわたしのこと、どう思ってるの、、」
「この世で唯一、俺の世界一大切な子じゃ」
そんな位置にわたしの存在を置いてくれたのは仁王くんが初めてで、わたしはもう嗚咽をもらすのが精一杯だった。
「はは、全然泣き止まんのう」
君のせいだよ、そう言い返すことすらままならなくて、仁王くんにされるがまま頭を撫で回されていた。
仁王くんのことを好きな女の子なんてそれそこ無数にいて、かわいい子も綺麗な子もたくさんいる。なんでわたしなんかと付き合ってくれたんだろう。そう、思わないほうが難しい。
例えば部活終わりのみんなとの帰り道。わたしはひとりモタモタして、仁王くんが呼んでくれるのをひっそり待ってる。呼んでもらえないと近付くことすらできないなんて、彼が知ったら呆れちゃうかな。
「夢子、はよ」
「あ、うんっ」
みんなと歩き出していた仁王くんが、わざわざわたしを振り返ってくれる。存在を気にかけてくれた、それだけで幸せで胸がぎゅっとなった。
帰宅メンバーはテニス部レギュラーと、わたし。それから、丸井の連れている女の子。女の子はいつも違う子だけれど、誰もが堂々と丸井の隣を腕を組んだり手を繋いだりして歩いている。仁王くんの二歩後ろを歩くわたしは、なんだか惨めな気持ちになって歩くペースを落とした。
仁王くん、こっち向いて。
「夢子はほんに歩くのが遅いのう」
浅はかな願いが届いたのだろうか、仁王くんが立ち止まり、わたしの右手を攫った。軽く握られたその手を握り返せない自分に心底嫌気がさす。仁王くんの気持ちを信じられないわけじゃない。だけど、それとこれとは話が別なのだ。
「…ゆっくり慣れればええ」
「、え?」
「俺はいつまでも待っとるきに、いつか自信を持って俺の隣に立ちんしゃい」
軽く握られていた手が、きゅっと強く握り直された。
「き、気付いてたの、、?」
「こばやしのことなら何だってわかる」
仁王くんは自信たっぷりに口角を吊り上げた。嬉しさと申し訳なさがぐちゃぐちゃになって胸の中を暴れ回り、涙が頬を滑った。
「ご、ごめんなさい」
「ん?」
なに泣いとるんじゃ、そう言って頬に触れる仁王くんは、少し屈んでわたしと目線を合わせてくれている。仁王くんの優しさに、涙が次々と溢れて止まらない。
「嫌な気持ちにさせちゃって、ごめんなさい」
「嫌な気持ちになんかなっとらんよ。臆病な子猫を餌付けしとるみたいで俺は楽しい」
「なにそれ…」
むすっとして軽く俯く。照れ隠しも少しあった。
「なあ、夢子」
頬にあった手が顎へと滑り、上を向かされた。
「夢子の自己評価がどれほどかは知らんが、俺の夢子への評価は俺が決める。おまんが勝手に推し量って無駄な遠慮すること無か」
そう言った仁王くんは今までで一番真剣な表情をしていて、その言葉を信じても大丈夫なんだと思えた。
だからこそ今、聞かなきゃいけないと思った。
「仁王くんはわたしのこと、どう思ってるの、、」
「この世で唯一、俺の世界一大切な子じゃ」
そんな位置にわたしの存在を置いてくれたのは仁王くんが初めてで、わたしはもう嗚咽をもらすのが精一杯だった。
「はは、全然泣き止まんのう」
君のせいだよ、そう言い返すことすらままならなくて、仁王くんにされるがまま頭を撫で回されていた。