先生と生徒の段
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私が忍術学園に赴任してきたのは
弥苫君が忍たま二年生の頃。
忍たまの教師をしていると、どうしても男子にしか指導する機会がないので
私は弥苫君が女の子であることを山田先生から伝えられた時は、びっくりしたし、接し方もぎこちなかったと思う。
実技の手伝いをしている時は、転ぶと誰より心配したし、かなり気を遣った。
『どいせんせ〜、ここの問題がわかりません。』
『どいせんせ〜!留三郎と喧嘩しちゃいましたぁ...。』
『あ!どいせんせっ!おはようございます!』
当時の弥苫君の言葉を思い出したら、なんだかかわいらしくて胸がくすぐったくなる。
素直でいい子だった。いや、今も十分そうなんだがな。
前の方が、構ってくれた?
そりゃあそうさ。小さい時はたくさん教えることもあったし身の回りの世話も少し手伝った。
六年生にもなると、立派なひとりの人間になる一歩手前。
そんな自立する時期に、私が構ってどうするんだ。
構いたいんだが、君の成長を実感しているからこそ、遠くから見守るんだ。
土「...弥苫君は、本当に忍者になるのかい?」
『え。』
弥苫君の筆を持つ手がぴたっと止まった。
目の前にいる私の目を見て、少し黙り込んだ。
少しの間の沈黙。
弥苫君は私から目をそらし、再び筆を走らせる。
『当たり前じゃないですか。そうじゃなければ、忍術学園へ来た意味がありませんから。』
淡々と話す弥苫君。
君が戦で両親を亡くしたこと、知っているから
君が将来合戦場で、どこかの城で、働くことに複雑な気持ちを持ってしまうんだ。
私はいけないね。素直に応援することができればいいが
正直、女性として綺麗な着物を着たり、男性と恋に落ちたり
家庭を持ったり、幸せな生き方をしてほしいと望んでいるんだ。
『私、山田先生みたいになるの!強くなるの!』
私と出会った時、弥苫君はそう言ったんだっけ。
君を、危ないところへ送り込まなくちゃいけない私たち先生の気持ちは、非常に辛い。
でも、君の強い意志と学んだ技術で、立派になって、弥苫君らしく生きてくれれば私も嬉しい。
いますぐにでも、手を引いて、守ってあげたい。
そう思うのは、私が先生だから...かな?
『先生!...土井先生!!』
土「ん?」
『もーぅ!私の仕事、終わりましたよ!』
土「え、もうそんなに?早いな〜。」
気がつけば夜も更けてきた。
このままここへいさせてはまずいな。
土「弥苫君助かったよ。ありがとう、もう部屋へ戻りなさい。」
『は〜い!では、おやすみなさい!』
土「あ、待って!」
『はい?』
土「なるからには、立派な忍者になるんだぞ。」
少しきょとんとした表情を見せたが
すぐにニカッと笑い、言われなくてもわかってます!
と言って去って行った。
弥苫君の残り香が心地よくて
もうこのまま眠ってしまいそうだ。
夢が見られるなら
彼女が幸せに笑う将来を、見せてくれ。
♯ ○ ♯ ○