利吉の心配ごとの段
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利「父上、利吉です。」
『弥苫でーす!』
戸の向こうから、入れと返事がきたので、私は父上、山田伝蔵の部屋の戸を開いた。
『あ、土井先生もいらしてたんですね。』
土「弥苫君、嬉しそうだねぇ声高いよ?」
『いやだ、土井先生ってば気にしないでください!』
土「すっかり女の子じゃないか( ̄∀ ̄)」
山「弥苫、ここは学園だぞ、気を抜くな。」
『は、はい!』
弥苫は父上から注意されると、ぴしっと背を伸ばして声を低くした。
あ〜父上、今までのままでよかったのに...。
山「で、何だ?二人揃って。」
利「母上が、次の休みは必ず家へ帰るようにと強く言っておりましたので説得に。」
山「なにぃ?そんなことで二人揃ってきたのか?」
『そんなことではありませんよ!この前私が家へ帰ろうと誘った時、補習授業の準備があるから〜って帰らなかったじゃないですか。次は絶対帰りましょう!』
山「ん〜だがしかし次の休みはテスト問題の作成がだなぁ。」
『そんなの土井先生だけで十分です!』
土「お、おい弥苫君...うっ、胃が痛いぃ。」
『この前家に帰った時、お母様に、学園でのお父様の活躍を話したところ、とても喜んでおりました。次は是非、ご自身の口でお話ししてあげてください!』
山「こら弥苫、学園でお父様はやめろー!」
土「あー山田先生顔デカい〜...じゃなくて声デカい〜。」
まぁまぁ、と父上を落ち着かせる土井先生。
なんだか私より弥苫の方が一生懸命説得してくれているな。
『家に帰るどころかお母様と二人で外出もできてないじゃないですか!
お団子屋さんとかおしるこ屋さんとか、お母様が大好きな甘味処へ連れて行ってあげてください!』
山「あーもぅ疲れるなぁ...。あーわかった!帰るよ!」
利「父上!母上、喜びますよ。」
『やった!約束ですよ!』
少し照れている父上。
はやり、弥苫に弱いところは弥苫の先生をしていても変わっていないようですね。なんだかほっこりするなぁ。
利「弥苫、ありがとう。」
『いいえ、帰ると言っていただいてよかった!』
その日は、弥苫とも十分話ができたし母上の頼みも済ませてきたのですぐに仕事に戻った。いやぁすっかり長居しちゃったな。
気持ちもスッキリリフレッシュできたところで、仕事も捗りそうだ。
数日経った休みの日。
私はいてもたってもいられなかったので、弥苫と父上を忍術学園に迎えに行った。
山「なんだ利吉、迎えなど頼んどらんぞ。」
利「いやぁ、嬉しくってつい。」
正門には、私と父上、弥苫と土井先生、そして小松田君がいる。
しかし、父上は私服に着替えているが、弥苫は忍たま制服のままだ。
『では、いってらっしゃい!』
利「え!?」
山「弥苫は帰らないのか?」
『たまには、親子水入らずでお過ごしください!』
利「そ、そんな!弥苫だって家族じゃないか!」
『お父様のお仕事、しっかりやっておきますから。』
山「テスト作成のことか?」
『土井先生と手を組んで、やりますから!』
土「え?いいのかい?」
『はい!それに、どん兵衛もいますから。』
どん兵衛って、弥苫が保護した猫のことか。
それにしても、父上ひとりなら迎えに来ることなかったなぁ。とほほ。
そんなこんなで私と父上は弥苫と土井先生と小松田君に見送られて家へ帰った。
弥苫、また近々、会いに来るからな。私の可愛い妹。
土「いいのかい?」
『...はい!土井先生、手伝う代わりに夕飯ご馳走してくださいね!』
土「ったく!調子いいぞ〜。」
黄昏時の山に沈む夕日の光が弥苫を照らした。
土井先生には、弥苫の表情が少し寂しげに見えた。
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