ツノ太郎VS恋愛アレルギー監督生
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番外編!執筆中の本編よりすこし関係が進んでおります!
ー・ー・ー・ー・ー
バレンタイン、残念ながら、男子校であるNRCには関係ないイベントだ。むしろ毎年、マジスタにあがっているRSAのイチャつき写真を見て殺気立っているので、2月14日はちょっとした小競り合いが多くなる最悪のイベントとも言える。
しかし今年は少し違う。なぜなら特例である唯一の女子生徒。リョウがいるからだ。
あわよくば、チョコを貰えればと思うものはいる。
それがたとえちんちくりんな監督生でもだ。女子からチョコを貰ったという事実が欲しいだけ、これが悲しきかな男子校の現実なのだ。
「予想以上に絡まれる…」
パッと見、女か男かも分からない私に、チョコをくれ!と絡んでくる生徒が後を絶たない。
しかも、チョコレートを貰えるまで絡んでくる始末。めんどくさいので、ミステリーショップでチロリアンなチョコ菓子を買って渡して適当に追い払う。
今は放課後、今から予め用意していたチョコレートを学園長に渡しに行くのだ!
意を決して、学園長がいる学園長室に向かおうとしたその時だった。
「リョウ」
後ろから声をかけられ振り返ってみると、予想外の人物がいた。
「ツノ太郎!?」
見間違えるはずもない、大きなツノを生やした巨漢。
学園で会うことはあまりないのでビックリしてしまった。
逆光で輝くペリドットの双眸は私をじろりと見下ろしている。他の一線を画すそのオーラ、気の所為かいつもより凄んで見えるのは、逆光のせいだろうか?
「何処へ行くんだ?」
「どこって、学園長のところだけど…」
「その手に持っているものは?」
「学園長にあげる、チョコ…だけど」
見下ろされて、尋問されているような質問に居心地が悪い。そして学園長にあげるものだと告げた瞬間、ひときわ強い風がふいた。
「わっ!」
風で木の葉が舞う、強い風で私はよろめいたが、太郎は直立不動。ピタリとも動じていない、その動かない視線はジッと手に持っている手提げの袋、つまりチョコレートに向けられていた。
どうしたらいいのか…と内心迷い始めた矢先、太郎が口を開いた。
「……リリアが今日はバレンタインデーだと話していた。そしてバレンタインデーには女性が親しい者にチョコレートを渡すものだと」
手提げの袋をずっとみていた理由はそれか。
そしてやっぱり、今日がバレンタインっていうこと知らなかったんだ。
それより気になるのは、リリアさんの説明が雑だったのか、太郎の個人的な解釈なのかは分からないが、バレンタインがチョコを配るイベントになっている。
まぁ私がやってる事はその言葉の通りなのだが。
「クロウリーにチョコレートはあるのに僕には無いのか?」
バレンタインは世の中の男達が騒ぐイベントだけれど、太郎がこんな俗な事を言うなんて珍しいと私は内心驚いていた。
「太郎に学園で会うとは思ってなかったから持ってない」
「……そうか」
「でも、オンボロ寮に来たとき渡そうと思ってたやつがある。……今はもちあわせてないだけ」
用意されてると知り。一瞬太郎の瞳が揺らめいた気がした。
ザワついていた木々も次第に穏やかなものへとなっていく。太郎は笑みを隠しきれないようだ。
「フフ…そうか。用意していたか」
嬉しそうな太郎を横目に、私はそっと呟く。
「……用意しないわけがない」
2月のカレンダーを見て私はびっくりしたのだ。
2月14日、バレンタインデーが来ると認識して、一番最初に思い浮かんだ顔が太郎だったから。
バレンタインという言葉で落ち着かない気分になるなんて、私らしくないと思う。
本当にこの人と一緒にいると私が別のナニカになっていくのを感じて恐ろしくなる。
「何か言ったか?」
「何も言ってない」
聞こえてなくていい、出来ればずっと。
◢◣◥◤◢◣◥◤
「それで、学園長室までついて来るんだ?」
「クロウリーにチョコレートを渡したら、オンボロ寮に帰るのだろう?共に行けばちょうどいい」
学園長室に向かう私の後ろを太郎は小鴨のようについてきていた。
2mの巨漢に後ろに立たれると落ち着かないのだが、それ以上に太郎は役に立っていた。
太郎がそばに居るだけでチョコをねだってくる生徒が一人もいない。私一人だとどうも絡まれやすくて仕方がないので、本当にちょうど良かったのかもしれない。
一人にも絡まれること無くあっという間に学園長室につく。
コンコンとノックをすると「はいってください」とドアの向こうから学園長の声が聞こえた。
分厚いドアを開けると、向こうでは椅子に腰かけた学園長が資料とにらめっこしていた。
来客が私だと気がついたのか、資料からようやく目を離した。
「おやリョウくんですか。どうしましたか?今日は特に呼びつけた記憶はないのですが。おやドラコニア君まで?一体なんの用で……」
「あ、あの!いつもお世話になってるお礼に」
私は学園長の目の前まで歩いていくと、手提げの袋を差し出す。
学園長はピンと来ていないのか、ぱちくりと目を瞬かせて、首を傾げている。
「チョコレートはお嫌いですか?」
「あ、ああ!なるほど!今日はそういえばバレンタインデーでしたね!ここは男子校なので、私すっかり忘れていました!」
手提げの袋を受け取ると学園長はニコリと微笑んだ。
「いやぁ、この歳にもなってバレンタインのチョコを貰えるなんて、私も隅に置けないですね、そう思いませんか?ドラコニアくん」
「?歳なんて関係あるのか」
「ン〜!どうやらドラコニアくんはバレンタインを理解していないご様子」
流石、学園長察しがいい。
「リョウくん、ここで開けても?」
「はい大丈夫です」
シックな手提げの袋から、大きめの箱が出てくる。
学園長の鋭い爪のアクセサリーで包装紙がみるみるうちにビリビリと破れていく。学園長がパカと箱を開けると…
「あらま!大きなハート型のチョコ!」
箱のサイズギリギリの特大ハート型。
麓の街のお店で一目見た時に、学園長にはコレだ!となったチョコレートだ。
NRCの学園長 に贈るのだから、もう少し高価そうで、食べやすいものが良かったかな…とチラリと横目で見ると まぁまぁまぁ と口に手を当ててマダムのように喜んでおられる。予想以上の好感触に私は安堵した。
「えへへ、学園長には特にお世話になってるので」
「長年教職を務めてきましたが、女子生徒にチョコを貰うのは初めてですねぇ、しかもハート型!これはトレイン先生達に自慢しなければ!」
器用にあの爪でスマホを使ってパシャパシャと写真を撮る学園長。
はしゃいでる学園長が可愛いくて、私はニコニコしていた。そうしたら、いつの間にか太郎がすぐ後ろに佇んでいた、しかも学園長のチョコレートをまじまじと凝視している。
気まずい事この上ない。
「な、なに?」
「いや、随分大きなハート型のチョコレートだと思ってな」
「学園長には1番お世話になってるし…」
「フフ…僕には何が用意されているのか楽しみだ」
ドキッ!と肩が震えた。
別に何も後ろめたい事があるわけでもないのに、表情がひきつってしまう。バレないように前を向く、太郎の期待から背を向けるように。
◢◣◥◤◢◣◥◤
「はい、太郎。ハッピーバレンタイン」
あれからオンボロ寮に帰ってきた私達。
グリムに見つからないように、戸棚に隠しておいた袋を太郎に手渡す。学園長に渡した袋の倍以上あるものだ。
ワクワクという文字が後ろに見えるような、期待に染まった太郎の瞳に腰が引ける。
「僕もこの場で開けていいか?」
正直にいうと帰って開けて欲しいが
なんてことも言えないので、私は「いいよ」と返す。
グリムのリボンを思わせるような手提げの袋の中には、かなり大きめの缶の容物が入っている。
缶の蓋をあけるとそこには…
「クッキー?」
マーブルなものから、ジャムの入ったものまで、色んな種類のクッキーが缶の中に沢山敷き詰められている。
美味しそうなクッキーを前に不思議そうな顔をしている太郎。私の鼓動はドクドクと早くなっていく。
「太郎はディアソムニアの人達と食べるだろうから、みんなで食べやすいクッキーがいいかなって…」
私はヘラリと笑った。
…そんなことは1ミリも思っていないのだが。
対して太郎は明らかに瞳が落胆の色に染まっている。
「チョコレートじゃないのか…」
「チョコ味のクッキーだから!」
やけにチョコレートに固執する太郎に声を張り上げてしまった。太郎も目を丸くしている。
あぁ、本当に良くない。太郎のことになると本当に私は余裕がなくなってしまう。
正直なところクッキーを選んだ理由というのも、実はマジスタでバズってた投稿が理由だ。
その内容というものが【バレンタインに贈るお菓子の込められた意味】
いわゆる花言葉と似たようなものだ。
チョコレートは 貴方と同じ気持ち。
マカロンは貴方は特別な人。
私が渡したクッキーは【友達でいよう】
この【友】という関係が出来れば永く続きますようにと願ったクッキー。いつか途切れてしまう、恋慕の関係よりも、友という永遠の絆で、私は太郎と結ばれたい。
ちなみにこのクッキーを何を選ぶだけで、休日がまる一日潰れてしまった。他の人達ものはあっさり選べたのに。
こんな邪な気持ちがバレてなければいいのだけれど。
太郎には期待ハズレだったようで申し訳ない。
完全に学園長のチョコレートを見せてしまったのがいけなかった。
「ほ、ほらバレンタインデーはチョコ以外も渡したりするから、リリアさんに聞かなかった?」
「聞いてはいたが…まぁでも、お前がわざわざ僕に用意してくれたのには違いないな。有難く受け取ろう」
太郎の優しげな笑みに、私の良心がズキズキと痛む。
完全に私のエゴで渡してしまったチョコ味のクッキー。
(今度お茶会には、美味しいチョコレートを用意しておこう)
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バレンタイン、残念ながら、男子校であるNRCには関係ないイベントだ。むしろ毎年、マジスタにあがっているRSAのイチャつき写真を見て殺気立っているので、2月14日はちょっとした小競り合いが多くなる最悪のイベントとも言える。
しかし今年は少し違う。なぜなら特例である唯一の女子生徒。リョウがいるからだ。
あわよくば、チョコを貰えればと思うものはいる。
それがたとえちんちくりんな監督生でもだ。女子からチョコを貰ったという事実が欲しいだけ、これが悲しきかな男子校の現実なのだ。
「予想以上に絡まれる…」
パッと見、女か男かも分からない私に、チョコをくれ!と絡んでくる生徒が後を絶たない。
しかも、チョコレートを貰えるまで絡んでくる始末。めんどくさいので、ミステリーショップでチロリアンなチョコ菓子を買って渡して適当に追い払う。
今は放課後、今から予め用意していたチョコレートを学園長に渡しに行くのだ!
意を決して、学園長がいる学園長室に向かおうとしたその時だった。
「リョウ」
後ろから声をかけられ振り返ってみると、予想外の人物がいた。
「ツノ太郎!?」
見間違えるはずもない、大きなツノを生やした巨漢。
学園で会うことはあまりないのでビックリしてしまった。
逆光で輝くペリドットの双眸は私をじろりと見下ろしている。他の一線を画すそのオーラ、気の所為かいつもより凄んで見えるのは、逆光のせいだろうか?
「何処へ行くんだ?」
「どこって、学園長のところだけど…」
「その手に持っているものは?」
「学園長にあげる、チョコ…だけど」
見下ろされて、尋問されているような質問に居心地が悪い。そして学園長にあげるものだと告げた瞬間、ひときわ強い風がふいた。
「わっ!」
風で木の葉が舞う、強い風で私はよろめいたが、太郎は直立不動。ピタリとも動じていない、その動かない視線はジッと手に持っている手提げの袋、つまりチョコレートに向けられていた。
どうしたらいいのか…と内心迷い始めた矢先、太郎が口を開いた。
「……リリアが今日はバレンタインデーだと話していた。そしてバレンタインデーには女性が親しい者にチョコレートを渡すものだと」
手提げの袋をずっとみていた理由はそれか。
そしてやっぱり、今日がバレンタインっていうこと知らなかったんだ。
それより気になるのは、リリアさんの説明が雑だったのか、太郎の個人的な解釈なのかは分からないが、バレンタインがチョコを配るイベントになっている。
まぁ私がやってる事はその言葉の通りなのだが。
「クロウリーにチョコレートはあるのに僕には無いのか?」
バレンタインは世の中の男達が騒ぐイベントだけれど、太郎がこんな俗な事を言うなんて珍しいと私は内心驚いていた。
「太郎に学園で会うとは思ってなかったから持ってない」
「……そうか」
「でも、オンボロ寮に来たとき渡そうと思ってたやつがある。……今はもちあわせてないだけ」
用意されてると知り。一瞬太郎の瞳が揺らめいた気がした。
ザワついていた木々も次第に穏やかなものへとなっていく。太郎は笑みを隠しきれないようだ。
「フフ…そうか。用意していたか」
嬉しそうな太郎を横目に、私はそっと呟く。
「……用意しないわけがない」
2月のカレンダーを見て私はびっくりしたのだ。
2月14日、バレンタインデーが来ると認識して、一番最初に思い浮かんだ顔が太郎だったから。
バレンタインという言葉で落ち着かない気分になるなんて、私らしくないと思う。
本当にこの人と一緒にいると私が別のナニカになっていくのを感じて恐ろしくなる。
「何か言ったか?」
「何も言ってない」
聞こえてなくていい、出来ればずっと。
◢◣◥◤◢◣◥◤
「それで、学園長室までついて来るんだ?」
「クロウリーにチョコレートを渡したら、オンボロ寮に帰るのだろう?共に行けばちょうどいい」
学園長室に向かう私の後ろを太郎は小鴨のようについてきていた。
2mの巨漢に後ろに立たれると落ち着かないのだが、それ以上に太郎は役に立っていた。
太郎がそばに居るだけでチョコをねだってくる生徒が一人もいない。私一人だとどうも絡まれやすくて仕方がないので、本当にちょうど良かったのかもしれない。
一人にも絡まれること無くあっという間に学園長室につく。
コンコンとノックをすると「はいってください」とドアの向こうから学園長の声が聞こえた。
分厚いドアを開けると、向こうでは椅子に腰かけた学園長が資料とにらめっこしていた。
来客が私だと気がついたのか、資料からようやく目を離した。
「おやリョウくんですか。どうしましたか?今日は特に呼びつけた記憶はないのですが。おやドラコニア君まで?一体なんの用で……」
「あ、あの!いつもお世話になってるお礼に」
私は学園長の目の前まで歩いていくと、手提げの袋を差し出す。
学園長はピンと来ていないのか、ぱちくりと目を瞬かせて、首を傾げている。
「チョコレートはお嫌いですか?」
「あ、ああ!なるほど!今日はそういえばバレンタインデーでしたね!ここは男子校なので、私すっかり忘れていました!」
手提げの袋を受け取ると学園長はニコリと微笑んだ。
「いやぁ、この歳にもなってバレンタインのチョコを貰えるなんて、私も隅に置けないですね、そう思いませんか?ドラコニアくん」
「?歳なんて関係あるのか」
「ン〜!どうやらドラコニアくんはバレンタインを理解していないご様子」
流石、学園長察しがいい。
「リョウくん、ここで開けても?」
「はい大丈夫です」
シックな手提げの袋から、大きめの箱が出てくる。
学園長の鋭い爪のアクセサリーで包装紙がみるみるうちにビリビリと破れていく。学園長がパカと箱を開けると…
「あらま!大きなハート型のチョコ!」
箱のサイズギリギリの特大ハート型。
麓の街のお店で一目見た時に、学園長にはコレだ!となったチョコレートだ。
NRCの学園長 に贈るのだから、もう少し高価そうで、食べやすいものが良かったかな…とチラリと横目で見ると まぁまぁまぁ と口に手を当ててマダムのように喜んでおられる。予想以上の好感触に私は安堵した。
「えへへ、学園長には特にお世話になってるので」
「長年教職を務めてきましたが、女子生徒にチョコを貰うのは初めてですねぇ、しかもハート型!これはトレイン先生達に自慢しなければ!」
器用にあの爪でスマホを使ってパシャパシャと写真を撮る学園長。
はしゃいでる学園長が可愛いくて、私はニコニコしていた。そうしたら、いつの間にか太郎がすぐ後ろに佇んでいた、しかも学園長のチョコレートをまじまじと凝視している。
気まずい事この上ない。
「な、なに?」
「いや、随分大きなハート型のチョコレートだと思ってな」
「学園長には1番お世話になってるし…」
「フフ…僕には何が用意されているのか楽しみだ」
ドキッ!と肩が震えた。
別に何も後ろめたい事があるわけでもないのに、表情がひきつってしまう。バレないように前を向く、太郎の期待から背を向けるように。
◢◣◥◤◢◣◥◤
「はい、太郎。ハッピーバレンタイン」
あれからオンボロ寮に帰ってきた私達。
グリムに見つからないように、戸棚に隠しておいた袋を太郎に手渡す。学園長に渡した袋の倍以上あるものだ。
ワクワクという文字が後ろに見えるような、期待に染まった太郎の瞳に腰が引ける。
「僕もこの場で開けていいか?」
正直にいうと帰って開けて欲しいが
なんてことも言えないので、私は「いいよ」と返す。
グリムのリボンを思わせるような手提げの袋の中には、かなり大きめの缶の容物が入っている。
缶の蓋をあけるとそこには…
「クッキー?」
マーブルなものから、ジャムの入ったものまで、色んな種類のクッキーが缶の中に沢山敷き詰められている。
美味しそうなクッキーを前に不思議そうな顔をしている太郎。私の鼓動はドクドクと早くなっていく。
「太郎はディアソムニアの人達と食べるだろうから、みんなで食べやすいクッキーがいいかなって…」
私はヘラリと笑った。
…そんなことは1ミリも思っていないのだが。
対して太郎は明らかに瞳が落胆の色に染まっている。
「チョコレートじゃないのか…」
「チョコ味のクッキーだから!」
やけにチョコレートに固執する太郎に声を張り上げてしまった。太郎も目を丸くしている。
あぁ、本当に良くない。太郎のことになると本当に私は余裕がなくなってしまう。
正直なところクッキーを選んだ理由というのも、実はマジスタでバズってた投稿が理由だ。
その内容というものが【バレンタインに贈るお菓子の込められた意味】
いわゆる花言葉と似たようなものだ。
チョコレートは 貴方と同じ気持ち。
マカロンは貴方は特別な人。
私が渡したクッキーは【友達でいよう】
この【友】という関係が出来れば永く続きますようにと願ったクッキー。いつか途切れてしまう、恋慕の関係よりも、友という永遠の絆で、私は太郎と結ばれたい。
ちなみにこのクッキーを何を選ぶだけで、休日がまる一日潰れてしまった。他の人達ものはあっさり選べたのに。
こんな邪な気持ちがバレてなければいいのだけれど。
太郎には期待ハズレだったようで申し訳ない。
完全に学園長のチョコレートを見せてしまったのがいけなかった。
「ほ、ほらバレンタインデーはチョコ以外も渡したりするから、リリアさんに聞かなかった?」
「聞いてはいたが…まぁでも、お前がわざわざ僕に用意してくれたのには違いないな。有難く受け取ろう」
太郎の優しげな笑みに、私の良心がズキズキと痛む。
完全に私のエゴで渡してしまったチョコ味のクッキー。
(今度お茶会には、美味しいチョコレートを用意しておこう)
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