ツノ太郎VS恋愛アレルギー監督生
貴方のお名前
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「僕をなんと呼ぶか決めたか?人の子よ」
会うことがないと思っていたのに、2日後に呆気なく私達は再会を果たした。
今日は満月。灯りが無くとも、月光が十分すぎるほどに夜を照らしていた。
「結構迫力があるお顔ですね…」
月夜に照らされて顕となったツノ太郎(親分命名)は想像以上の顔だった。綺麗な黒髪に、ペリドットの双眸、艶やかな唇が弧を描いている。
人並み外れた美貌と言えばいいのだろうか、凄みがある容姿だ。
「もしかして、この前は僕の顔が見えていなかったのか?フフ…ならばようやく自分が誰と対峙しているのか、どんな状況に置かれているのか理解したか?」
「いや貴方が誰かは知らないですけど」
「知らないのか」
嘆かわしい…と言いたげな表情のツノ太郎。
(それほどに有名なのだろうか)
そう言われても、私はこの世界の常識はほぼ知らない。
「でも、名前は考えてきましたよ」
「ほう?どんな名前だ?」
「ツノ太郎です」
あだ名を即答すると、ツノ太郎は呆然としていた。
親分の考えてくれたあだ名はすごく可愛いと思う。
確かに凄みのある美貌の持ち主には似合いではないかもしれないが、そのギャップが私は気に入った。
「ツノ太郎…?」
「はいツノ太郎です。気に入りました?」
私は首を傾げ尋ねる。呆然としていたツノ太郎は、次第に肩を震わせ、口に手を当て笑いを堪え出した。
「フフッ…!僕を知らないとはいえ…フフ…ツノ太郎…!」
「そんなに可笑しいですか?可愛いと思うんですけど」
「いや、フフッ…可笑しいが、ツノ太郎…フフ」
ツノ太郎という命名は彼のツボに入ってしまったようで、まともに会話にならないほど、笑わせてしまっている。
しかし、ツノ太郎は次第に落ち着きを取り戻した。
一度、深呼吸をすると、笑いすぎで浮かんだ涙を指で拭い、対峙しなおすと話を戻した。
「よし気に入ったぞ。今日から僕をツノ太郎と呼ぶのを許そう」
「ありがとうございます?」
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな」
確かに。名乗り忘れていた。
私とグリムの存在は、この学園では有名なので、知られているものだと思っていた。
私に世間知らずと言うくせに、ツノ太郎も流行に疎い人のようだ。
「私はリョウです」
「リョウか、お前のことを僕は覚えたぞ。オンボロ寮の人の子よ」
フフと愉快そうなツノ太郎に、自己紹介を終えた私は
かねてからの質問をする。
「ツノ太郎、この前も思ったんですけど、こんな夜中にオンボロ寮の周辺で何をしてるんですか?」
「何を…と言われても、特別なことをしている訳では無い、散策だ。」
呆気ない回答に私は安堵した。
不審者ではなく、普通の夜の散策。
まぁそれでも不審者感は否めないが。
「ついこの前までは、オンボロ寮の中まで見てまわっていたのだが、最近人が住み着いたからな、もう此処は廃墟ではなくなってしまった」
「なんかすみません」
名残押しそうに言うから、謝罪すると、ツノ太郎は気にしなくていい と首を振る。
「元々、オンボロ寮は人が住むために造られたものだ。前は活気に溢れていたオンボロ寮はまた、在るべき姿に戻っただけに過ぎない。」
明かりの灯ったオンボロ寮を見つめ、ツノ太郎はペリドットの双眸を細めた。
その表情に私も胸が締め付けられる。
自分が好きなものが変わっていくのは悲しい事だと私はよく知っている。
しかしどんなモノにも別れはつきものだ。
自分の好きなモノ、もしくは好きな人が、良い方向に向かうことが喜べなくたって、私は赦されても良いと思うのだ。
「こんな時間ですけど、良ければ久しぶりに寄っていきます?お茶でもだしますよ」
時間が時間だが、もう眠気が吹っ飛んでしまった。体も夜風にあたったせいか冷えてしまったし、私がそうならきっとツノ太郎もそうだろうと思いお茶に誘う。
しんみりとしてしまった雰囲気で、ツノ太郎とさくっとサヨナラというのは何か違う気がした。
「もしかして、僕をお茶に招待するということか?」
他に何があるというのだろうか。
「…ほぼ初対面の人に、隠語を使ってのお誘いなんてしませんよ。初対面じゃなくてもしません。そのまま、体も冷えたから温かいお茶をのんで、帰路に着いたらどうですか、という意味です」
「いや分かっている。ただ、お前は僕に珍妙な名付けしただけでは飽き足らず、この僕を招待までするのか…と思ったんだ……本当に変わっている人の子だ」
貴方に言われたくないんだが。
私も彼のように変わった人は初めて見た。ツイステッドワンダーランドに来てから、変わった人には随時ランキングが更新されるレベルで出くわすが、この人のトップランキング入りは固い。
「緑茶飲めます?申し訳ないですけど、うちにはそれしかなくて」
「飲める。気を遣わせてしまってすまない」
「私が勝手にやってる事だからいいんですよ」
その後、軽くお茶を飲みながら談笑したあと、ツノ太郎は帰路についた。帰路に着いたというか、蛍に見える黄緑色の光になって消えたのだが。
隙間風が入り込むオンボロ寮で飲むお茶が、何故かいつもより美味しく感じたなんて誰にも言えない。
会うことがないと思っていたのに、2日後に呆気なく私達は再会を果たした。
今日は満月。灯りが無くとも、月光が十分すぎるほどに夜を照らしていた。
「結構迫力があるお顔ですね…」
月夜に照らされて顕となったツノ太郎(親分命名)は想像以上の顔だった。綺麗な黒髪に、ペリドットの双眸、艶やかな唇が弧を描いている。
人並み外れた美貌と言えばいいのだろうか、凄みがある容姿だ。
「もしかして、この前は僕の顔が見えていなかったのか?フフ…ならばようやく自分が誰と対峙しているのか、どんな状況に置かれているのか理解したか?」
「いや貴方が誰かは知らないですけど」
「知らないのか」
嘆かわしい…と言いたげな表情のツノ太郎。
(それほどに有名なのだろうか)
そう言われても、私はこの世界の常識はほぼ知らない。
「でも、名前は考えてきましたよ」
「ほう?どんな名前だ?」
「ツノ太郎です」
あだ名を即答すると、ツノ太郎は呆然としていた。
親分の考えてくれたあだ名はすごく可愛いと思う。
確かに凄みのある美貌の持ち主には似合いではないかもしれないが、そのギャップが私は気に入った。
「ツノ太郎…?」
「はいツノ太郎です。気に入りました?」
私は首を傾げ尋ねる。呆然としていたツノ太郎は、次第に肩を震わせ、口に手を当て笑いを堪え出した。
「フフッ…!僕を知らないとはいえ…フフ…ツノ太郎…!」
「そんなに可笑しいですか?可愛いと思うんですけど」
「いや、フフッ…可笑しいが、ツノ太郎…フフ」
ツノ太郎という命名は彼のツボに入ってしまったようで、まともに会話にならないほど、笑わせてしまっている。
しかし、ツノ太郎は次第に落ち着きを取り戻した。
一度、深呼吸をすると、笑いすぎで浮かんだ涙を指で拭い、対峙しなおすと話を戻した。
「よし気に入ったぞ。今日から僕をツノ太郎と呼ぶのを許そう」
「ありがとうございます?」
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな」
確かに。名乗り忘れていた。
私とグリムの存在は、この学園では有名なので、知られているものだと思っていた。
私に世間知らずと言うくせに、ツノ太郎も流行に疎い人のようだ。
「私はリョウです」
「リョウか、お前のことを僕は覚えたぞ。オンボロ寮の人の子よ」
フフと愉快そうなツノ太郎に、自己紹介を終えた私は
かねてからの質問をする。
「ツノ太郎、この前も思ったんですけど、こんな夜中にオンボロ寮の周辺で何をしてるんですか?」
「何を…と言われても、特別なことをしている訳では無い、散策だ。」
呆気ない回答に私は安堵した。
不審者ではなく、普通の夜の散策。
まぁそれでも不審者感は否めないが。
「ついこの前までは、オンボロ寮の中まで見てまわっていたのだが、最近人が住み着いたからな、もう此処は廃墟ではなくなってしまった」
「なんかすみません」
名残押しそうに言うから、謝罪すると、ツノ太郎は気にしなくていい と首を振る。
「元々、オンボロ寮は人が住むために造られたものだ。前は活気に溢れていたオンボロ寮はまた、在るべき姿に戻っただけに過ぎない。」
明かりの灯ったオンボロ寮を見つめ、ツノ太郎はペリドットの双眸を細めた。
その表情に私も胸が締め付けられる。
自分が好きなものが変わっていくのは悲しい事だと私はよく知っている。
しかしどんなモノにも別れはつきものだ。
自分の好きなモノ、もしくは好きな人が、良い方向に向かうことが喜べなくたって、私は赦されても良いと思うのだ。
「こんな時間ですけど、良ければ久しぶりに寄っていきます?お茶でもだしますよ」
時間が時間だが、もう眠気が吹っ飛んでしまった。体も夜風にあたったせいか冷えてしまったし、私がそうならきっとツノ太郎もそうだろうと思いお茶に誘う。
しんみりとしてしまった雰囲気で、ツノ太郎とさくっとサヨナラというのは何か違う気がした。
「もしかして、僕をお茶に招待するということか?」
他に何があるというのだろうか。
「…ほぼ初対面の人に、隠語を使ってのお誘いなんてしませんよ。初対面じゃなくてもしません。そのまま、体も冷えたから温かいお茶をのんで、帰路に着いたらどうですか、という意味です」
「いや分かっている。ただ、お前は僕に珍妙な名付けしただけでは飽き足らず、この僕を招待までするのか…と思ったんだ……本当に変わっている人の子だ」
貴方に言われたくないんだが。
私も彼のように変わった人は初めて見た。ツイステッドワンダーランドに来てから、変わった人には随時ランキングが更新されるレベルで出くわすが、この人のトップランキング入りは固い。
「緑茶飲めます?申し訳ないですけど、うちにはそれしかなくて」
「飲める。気を遣わせてしまってすまない」
「私が勝手にやってる事だからいいんですよ」
その後、軽くお茶を飲みながら談笑したあと、ツノ太郎は帰路についた。帰路に着いたというか、蛍に見える黄緑色の光になって消えたのだが。
隙間風が入り込むオンボロ寮で飲むお茶が、何故かいつもより美味しく感じたなんて誰にも言えない。