迷える黒犬 犬→猫
セブルスは息を吐き、朦朧としながら、自分で支えるのがつらくなった頭をシリウスの肩口に押し付けた。
シリウスの首元から熱が広がる。
黒髪から何やら良い香りがする。
シリウスは内心うろたえた。
ー…リーマス!助けてくれ!!ー
廊下を進んでいくと、そこにピーターがいた。
ピーターは明らかに怯えている。
「スネイプを…?」
ピーターは逃げる準備万端で話しかけた。
「違う!!勝手に倒れたんだ!!」
シリウスが怒鳴った。
ピーターは逃げ出していた。
「ピーター!!待て!!手伝え~!!!」
「…ブラック…」
セブルスが囁いた。
「何だよ!」
シリウスが大声を出した。声が裏返っている。
「うるさい…」
ー…ああああ!くそッー
シリウスはセブルスに耳元で囁かれ、腰にぞくぞくするものを感じながら、医務室へ急いだ。
「リーマス!」
廊下にリーマスが立っていた。
シリウスはすがるようにリーマスに近づいた。
「リ~マス~」
半泣きである。
しかし、リーマスはシリウスの腕の中でぐったりしているセブルスを見てショックを受けた顔をしていた。
「シリウス…セブルスを殺しちゃったってホント…?」
リーマスは涙目で聞いている。
「はあ!!??生きてるだろ!!ほら!!
つーか殺してねえよ!風邪だ!風邪で勝手に倒れたんだ!」
シリウスが叫ぶ。
ー…一体どんな噂が広がってるんだ!?ー
ホグワーツの噂は音速を超えている。すでにシリウスがセブルスを殺したことになっていた。
シリウスは背後にものすごい殺気を感じた。
恐る恐る振り返ると、案の定ジェームズが鬼の形相で立っていた。
「ああ…」
シリウスは反論する気も弁解する気も失せて、天を仰いでため息をついた。
4/4ページ