迷える黒犬 犬→猫
シリウスは悪戯どころではなくなった。
ー…どうする?ジェームズを呼んでくるか?ポンフリーは?それともこのまま抱えて医務室の方が早いか!?ー
ドアに目をやった時、セブルスが苦しそうに咳き込んだ。それでもシリウスの体を腕で押し、離れようとしている。
「…うつるぞ…」
セブルスは脅すように言った。
シリウスはセブルスを抱き上げていた。
「黙ってろ」
シリウスが凄んだ。
迫力に押され、セブルスはなす術もなく、悔しそうにため息を吐いた。
セブルスを抱いたまま、シリウスはどかどかと階段を上がり、廊下を歩いた。
「…ック…ブラック…!」
セブルスが声を出した。
「あ?なんだよ??」
面倒くさそうにシリウスが返事をした。
「もう少しゆっくり歩けないのか…?頭と背中に響く…」
セブルスはうんざりしたように呟いた。
熱のせいで背骨が軋む。
シリウスは心の中で叫んだ。
ー…ゆっくり歩くと目立つんだよ!!ー
すでにすれ違う生徒が足を止めて振り返っていた。
日ごろから仲が悪いため、まるで決闘かなにかでセブルスを倒したように見えるらしかった。
シリウスはムスっとしたまま、腕の中でずり落ちそうなセブルスの体を抱えなおすと、覚悟を決めてゆっくり歩いた。