始まりは唇から 鹿猫
ねえ、セブルス、僕たちはどこで間違えたんだろう?
始まりは唇から
「やあ、スニベルス!今日も本が友達かい?」
ジェームズはスネイプの杖を飛ばした後、本を弾きその本を呼び寄せた。
「へ~え、呪文の構築と闇の魔術の関連性について?スニベルス、君自身が闇の魔術そのものじゃないか!」
ジェームズはせせら笑うと杖を一振りし、スネイプの頭上から真っ黒なインクをかけた。
シリウスが大笑いする。
「傑作だ!!」
「ほら、踊ってよ」
ジェームズは尚もスネイプの足に杖を向け、ステップを踏ませた。
リーマスはその様子を冷ややかに観察していた。
ー…おかしい。ジェームズの構い方は異常だ。前は冷やかし程度だったのに…。
リーマスは知っていた。ジェームズが毎晩のように寮を抜け出しているのを。おそらくスリザリン寮へ行っているのではないだろうか…。
「いい加減にしろ」
スネイプが息を切らしながら何とか杖を拾い、呪文を終わらせると、本を拾い目も合わせずに歩き去った。
その表情はどこか疲れていた。
「愛してます…」
いつもの囁き。優しく、懇願するような切ない声。
スネイプは声のする方をじっと見つめていた。
「一体お前は誰なんだ?」
スネイプはうんざりしたように溜息をつく。
「なぜポッターの姿をしているんだ?」
何もない場所からジェームズの姿が現れた。ゆっくり近づくと、ジェームズはスネイプの手を取り、口付けた。
「なぜポッターに化けているのかは知らないが…」
言い終わらないうちに唇がふさがれた。
「…ッ…」
濃厚なキス。息が続く限り舌で執拗に絡め取られる。スネイプも徐々に力が抜けてゆき、たどたどしく舌で応える。
めまいの内に押し倒され、ナイトシャツに滑り込まれる温かい手に身体が跳ねる。
スネイプは飲み込まれるような熱と高められてゆく欲望の中で、ジェームズの背中に腕を回した。
昼間の、あのジェームズもこれくらい自分を求め、見つめてくれたら…。思わず考えてしまった自分にスネイプは苦笑した。
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