氷砂糖 鹿猫
「いたか?」
シリウスがジェームズの乱れた髪と、制服を腕まくりし、ネクタイを緩めた姿を見て思わず聞いた。
ジェームズが首を振る。
「森かもしれない…」
ジェームズが不安そうに外を見た。
「もう、寮へ帰らないと…」
ピーターが恐る恐る言った。
「分かってる」
ジェームズが言った。そしてリーマスとピーターを見た。
「シリウス、僕と来てくれ」
シリウスが気圧されるまま頷いた。
「ピーター、寮監(監督生)のウィーズリー先輩に気付かれないように工夫して。リーマスはスリザリン寮でセブの代わりを」
「ええッ!?」
リーマスが目を丸くした。
「君の笑顔ならルームメイトを落とせる!…セブが僕のせいで減点になるのは嫌なんだ」
ジェームズはシリウスに箒を押し付けながら、腕を掴み走り出していた。
「リーマス、襲われんなよ!」
シリウスが本気で心配そうに叫んだ。
リーマスは溜息を吐いてひとりごちた。
「後でチョコレート、ダース買いしてもらうから…」