アイリス 鹿猫
「お疲れ様でした、ダンブルドア」
鳶色の髪を湛え、虹を見上げていた背の高い男の隣に、白いフクロウが降りた。
フクロウは煙のように白い人間の姿に変わった。
「梟の人か」
男は虹を見つめたまま呟いた。
「私は最初から賛成だったよ」
「ええ…知っています」
「役割なのだろう…?」
「…はい」
「…虹は、願いだ」
男は眩しそうに、澄んだ青い目を細めた。
白いふわふわの髪に、深青な目をしたフクロウも虹を見上げた。
「願いですか…?」
「そうだ…様々な形があるということ…それらが互いを尊重し、並び、理解をしあい、平和を築くようにと…。皮肉だと思わないかね、平和を脅かすとして、弾圧され、虐げられた人々が、誰よりも平和を願っている。虹を掲げ、願っている…」
フクロウは目を細めた。
「…お茶を飲みませんか…?」
男は微笑んだ。
「そうだね…いただこう」
「あなたの好きなラズベリージャムもあります」
二人はゆっくり歩き始めた。
_