アイリス 鹿猫


式はさっきと同じ流れだったけど、キスの後、一つ違うことがあった。

みんなで中庭に出て、パーティーを開始するときだった。

純白のフロックコートを着たジェームズが、セブルスの腰に手を回して、僕たちにお辞儀をした。
そして、セブルスの耳元に何か囁いた。

挨拶の後、セブルスが杖を出して、大きく振った。それから、ジェームズが杖を振った。

すると、大きな虹が二人のもとから僕たちへ、そして遠い空へ伸びたんだ。

シリウスや、マルシベールが賞賛の口笛を吹いたり、大きく手を叩いたりした。

僕たちも歓声を上げて、拍手した。




ジェームズは気が付いていないけど、たぶん、セブルスも知らないだろうけど、セブルスの胸元で光っているアイリスは、ギリシャ語で“虹”を意味する。

花言葉は“愛”なんだ。


空はどこまでも青くて、風がとても気持ちよくて、七色の虹はとてもきれいだった。




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