アイリス 鹿猫


拍手が沸き起こった。

小太りの男は安心したように溜息をつき、嬉しそうに微笑んだ。
彼もまた、事の成り行きを見守っていた。

杖を出し、二人の頭上に光る翼を掲げた。

そして、咳払いをすると、まっすぐ二人を見つめた。



「愛は苦難を超える。挫けそうになって涙する夜も、冷たい風が吹き付ける夜も、心を痛める残酷な風の鳴る夜も、愛した者には必ずあたたかな光が差し伸べられる。人を愛した者は、人から愛される。翼は決して折れることはない。愛し、愛されることを知る翼は、どこまでも高く飛ぶ力を持っている。
ジェームズ・ポッター、汝は、彼を愛し、彼から愛されていることを知り、その翼を折ることなく、羽ばたき続けることを誓いますか?」



「誓います」


「セブルス・スネイプ、汝は、その片方の翼になり、世界中から笑顔を向けられなくなったときでさえ、彼に微笑みかけ、彼から愛されていることを知り、汝もそれを忘れることなく、愛し続けることを誓いますか?」



「誓います」



二人の頭上に浮かんだ翼が羽ばたき、背後にある閉ざされた白い扉に向かって飛んだ。

ジェームズはセブルスへ体を向けた。
セブルスも同時に向き合った。



「セブルス…君に会えてよかった…。君がいたから僕は強くなれた」

ジェームズはセブルスの腰を抱くと、今度は振り返り、二人を見守る者たちに体を向けた。


「僕たちを支えてくださってありがとうございます。ここまで来るこの一歩一歩は、その支えがなければ辿り着けませんでした…。本当に…ありがとう…」

ジェームズは深々とゆっくり体を曲げ、お辞儀をした。
セブルスも深々と頭を下げ、体を起こすと、ジェームズに向き直った。



「セブルス…君に会えてよかった、君を愛することを許してくれてありがとう」

セブルスは微笑んだ。

「僕もだ…ジェームズ…お前がいたから僕は強くなれた。人を愛することを知った。お前に愛される喜びを知ったんだ…」

セブルスの瞳から涙が一筋こぼれ落ちた。

ジェームズは微笑み、頬に手を添えると、指で涙を拭った。


「ファーストキスを…」




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