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アイリス 鹿猫


ジェームズの隣にリリーが戸惑い顔で立っている。
リリーの前に微笑むセブルスが立っている。

セブルスの姿が二人の手を取り、しっかりと重ね合わせた。

ジェームズは無言のまま、セブルスの姿を見下ろし、空いた片手でその手を取ると、そっと手の甲に口付けた。

シリウスとリーマスが白い扉を開けた。

貝殻が埋め込まれた壁と、扉へ歩く姿を見届け、シリウス、リーマス、リリーは裏口から建物の中へ移動した。







「なあ、エイブリー、どうなってんだ?」

扉から入ってきたジェームズとリリーの姿を見るなり、マルシベールは隣に座るエイブリーに小声で聞いた。

エイブリーは視線を動かすこともなく、マルシベールの声にも反応はしなかったが、その横顔にはかすかな緊張が浮かんでいた。

アーサーは二人の姿を確認すると、視線を前に戻した。
目の前にはルシウスが座っていた。
やわらかな光にプラチナブロンドの髪がなめらかに艶を帯びている。
しばらく愛しそうに眺めた後、体をずらし、座りなおした。


ジェームズは赤い絨毯の先を見た。

男が二人立っている。

魔法省神秘部の人間だった。

表情のない背の高い男と、緊張に身を強張らせている太った小男が、窮屈そうな黒い服に身を包んでいる。
そして視線を横に向け、リリーの姿を見下ろした。

亜麻色の髪に、表情豊かないつもの瞳はなく、緊張したその顔は怒っているように見える。

ジェームズはそっと耳元に囁いた。

「…セブ…大丈夫…行こう…」

白い手袋に包まれた手を取り、一歩踏み出した。


しかし、足が絨毯を踏んだときだった。

皮膚に電気が走るような痛みに襲われた。


「…!!!??」

ジェームズは痛みに一瞬身じろぎ、隣を見て目を見開いた。

シリウスとリーマスも振り返り、二人を見て血の気がひいた。

ジェームズの隣には純白のウエディングドレスのセブルスが立っていた。
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