アイリス 鹿猫
「セブルス…?」
ハシバミ色の瞳がじっと見つめている。
リリーやシリウス、リーマスも心配そうに様子を窺っていた。
「セブ…?」
気遣わしげな声に、セブルスは首を振った。
ジェームズはセブルスを抱き締めなおすと顔を上げ、リリーに手を伸ばした。
リリーが膝を着き、セブルスの肩に手を置いた。
「セブルス…僕たちにはリリーがいる。一度目の式で、神秘部の連中の前で君はリリーの姿になるんだ。そしてリリーはセブルスの姿に…僕はリリーに扮した君と一緒に歩き、誓約書に名前を書く。あそこまで行けば大丈夫だ…。セブ…一緒に歩こう…」
セブルスは顔を上げると、リリーを見た。
リリーは翡翠色の大きな目を細めて微笑んだ。
「あなたに変身するの、ドキドキするわ」
いたずらっ気を含ませた瞳は少女のように輝いている。
「セブ…心から愛する人と幸せになって…それがあなたを愛する私たちの幸せよ」
リリーはシリウスとリーマスに顔を向けた。
二人も微笑んでいた。
セブルスは僅かに微笑んで、頷いた。