アイリス 鹿猫
白い鳥が青い空を飛んでいる。
青い海にも青い空にも溶けることはなく、漂っている。
ゆっくりと旋回し、舞い上がる。
それは真昼のフクロウだった。
キラキラと光る青い目が鏡のように開いている。
フクロウは高度を下げ、街を目指した。
全てが動き出した。
「式は二度やる」
ジェームズの言葉にシリウスとリーマスは顔を見合わせた。
部屋の明かりを落とし、四人の頭上に蛍のような虫が漂っている。
明かりはシリウスとリーマスの顔を照らし、強く絡められた指を照らし、そして今度はジェームズとセブルスの顔を照らした。
「許可は貰ったんだけど、姿を変えなきゃいけない」
「どういうこと?」
リーマスの声に蛍が反応し、その顔を照らした。
「あくまで“自然の規則”に倣わなければいけないんだ」
蛍がジェームズの方へ移った。
「自然の規則…つまり、男女ペアの形式を取るということさ」
「誰に姿を変えるんだ?」
シリウスの顔が照らされた。
「もちろん彼女しかいない」
ジェームズの言葉に、セブルスはその横顔を見つめた。
ジェームズは杖を出し、空いた手でセブルスの手を握った。そして杖を振り、部屋にミラーボールを掲げた。
ピンクやブルーの水玉が部屋の壁を踊る。
「やめてちょうだい!!」
リリーが四人の前に現れた。
腰に手を当てている。
四人を見下ろし、ミラーボールを仰ぐと息を吐いた。
「イメージが違うわ!」
「リリー!」
セブルスが声を出した。
リリーは嬉しそうに笑った。
「そう!リリーさ!」
ジェームズはセブルスの肩を抱き、ミラーボールに杖を向けると、派手に爆発させた。
部屋中に虹色の紙ふぶきが舞った。
「リリーに協力を頼むんだ!!僕が唯一敵わなかった女性さ!」
「あなたを助けるんじゃないわ!あくまでセブルスのためよ!」
驚きに言葉を失ったセブルスを、ジェームズは心配そうに見つめた。