アイリス 鹿猫
「誓って…」
「…何を言っているんだ?」
真面目な顔に不安が募った。
「…お前が死んでも僕は生きる…?」
「そう…どちらかが先に死んでも」
「…………」
「セブ」
セブルスはわずかに首を振った。
漆黒の瞳が見開かれ、ジェームズの瞳を必死に見つめている。
「セブ、誓って」
沈黙が続いた。
「…誓えない…」
セブルスの目に涙が溢れた。
「…誓えない…僕は…お前がいなくなったら…生きて…」
ジェームズはセブルスの手に恭しく口付けた。
「僕の願いだ。セブルス…。どちらかに何があっても、生きていて欲しい。お願いだ…」
セブルスはようやく頷いた。
シリウスの杖が二人の手元に振られ、そこからリボン状の緑光が二人の手と手首に絡まった。
リーマスはその色を見て、違和感を覚えた。
シリウスも気が付いたらしい。
二人は顔を見合わせた。
「ジェームズ…破れぬ誓いって緑だっけか…?」
「…いや…分からない…初めてやるし…」
弱々しく光る緑色の呪文はすぐに消えた。
ジェームズは破れぬ誓いの手応えのない奇妙な感覚を振り払うように、明るく言った。
「とにかくこれで策は打てた!あとは許可が出るのを待つだけさ!セブルス!!」
うつむいているセブルスの両頬を包み、上向かせた。
「仕上げ♪」
ジェームズはセブルスに深く口付けた。
シリウスとリーマスの前でキスをされ、顔がみるみる赤くなってゆく。
リーマスはセブルスに殴られるジェームズを楽しそうに見つめ、くすくす笑った。