アイリス 鹿猫
ホグワーツに向かってフクロウが飛んでゆく。
雨の中、滑空し、校長室の出窓にとまった。
ダンブルドアは窓を開けた。
純白のフクロウが出窓に降り立った。
「君か…ご苦労様…」
ダンブルドアは杖を一振りし、濡れた羽を乾かした。
「ご親切にありがとう」
フクロウは青い瞳を大きく開けてそう言った。
「今夜、ジェームズ・ポッターとセブルス・スネイプが破れぬ誓いを結ぶようです」
「ああ…分かっている」
「次は神秘部とやり合うでしょう」
フクロウのくぐもった声が事務的に続けられる。
「そうか…」
ダンブルドアはフクロウを見下ろし、その深く青い瞳をちらりと見て言った。
「破れぬ誓いに関しては大丈夫だ。私が今日の午後、セブルスに会っている」
「そうですか…では、次の事態に備えてください」
「人使いが荒いね君は」
ダンブルドアの言葉にフクロウが目を細めた。
「あなたじゃないといけないんです。あなたは…」
「分かった」
フクロウの言葉をすばやく遮る。
ダンブルドアの青い瞳は冷たく光り、フクロウの三日月形に細められた青い目を射抜いた。
フクロウはゆっくりとお辞儀をすると、向きを変え飛び去った。