アイリス 鹿猫
「え、ちょッ!あなた!!泣くのはあたしよ!」
「うるさい!だから嫌だったんだ見送りなど!」
ぼたぼたと大粒の涙を流しながらトビアスがリビングに消えた。
ジェームズはセブルスの涙もろさは父譲りなのだと内心思った。そして、セブルスを見下ろしてまた固まった。
ジェームズ以外の三人が泣いていた。
「…なんか僕、ものすごく悪いことをした人みたいだ…」
苦笑混じりに呟いた。
バスを降り、駅へ向かう道を二人は歩いた。
「また会えるんだからさ、あんなに泣かなくても…」
「うるさい!貴様はどうしてあんな言葉を恥ずかしげもなく言えるんだ?」
セブルスは目を赤くしたまま、ジェームズを睨んだ。
ジェームズは首を傾げた。
「恥ずかしい言葉だった?」
「……いや、恥ずかしくはないが、何というか…」
セブルスは説明に困った。ジェームズが相変わらず首を傾げたまま歩いている。
「もういい、お前は昔からそうなのだから…」
一生懸命、自分の言った言葉を確かめているジェームズの手を取り、セブルスは足を速めた。
ジェームズは嬉しそうにその手を握り返し、自分のポケットに入れた。
「ね、セブ、帰ったらエッチしたい」
「ジェームズ…それは恥ずかしい言葉だ…」
「夜ならいいの?」
「そういう問題じゃない!」
セブルスは大きなため息をついた。