アイリス 鹿猫
権利を勝ち取れ!!
「セブルス!ハッピーバースデー!アーンド婚約おめでとー!!」
「…………なんで貴様等がここにいるんだ…?」
冬休み、ジェームズに連れられ、両親であるコーネルとミシェルに会い、あたたかく見送られた後、列車に乗った。
ホグワーツに戻るためである。
冬休みはあと数日残っているせいで、生徒達は誰も乗っていなかった。
セブルスは長い道のりのなか、手洗いに立った。
そしてジェームズのいるコンパートメントに戻ると、そこにはシリウスとリーマスが座っていた。
「どうぞ!」
リーマスがいっぱいに広げた菓子をどかしながら、席を勧めた。
「……………」
固まったまま動かないセブルスを、ジェームズが腰を抱き寄せ、隣に座らせた。
「おいリーマス、あれあれ…」
シリウスがリーマスに耳打ちする。
「うん…待って」
リーマスが立ち上がり、荷台から平たい箱を降ろそうとした。
シリウスがその背後からひょいと箱を掴むと、リーマスに手渡した。
「ありがと!」
二人は席に座り直すと、自分達を睨み付けているセブルスに向き直った。
「セブルス、お誕生日おめでとう!これ、僕たちからのプレゼントだよ」
にっこり笑って箱を差し出した。
セブルスは警戒しながら箱を受け取ると、包み紙を丁寧にはがし、蓋を開け、再び固まった。
「………貴様ら…」
「気に入った?」
にこにこするリーマスの斜め前で、ジェームズが歓声をあげた。
「すごいよこれ!!僕のイメージ通りだ!!」
「だろ?」
シリウスが誇らしげに笑みを浮かべる。
「セブルス着てみてよ!」
「断る!!!」
それは純白のウェディングドレスだった。
「どうして?」
「ぼッ僕は着ないぞ!ドレスなんて…」
箱を持つ手をぷるぷる震わせながら、抗議する。三人は声をそろえた。
「絶対に似合う!!!」
「しかもこれ!」
リーマスが力説する。
「これは着る人に合わせてサイズも変わるし、色やデザインまで変わるんだよ!」
「…いや…そうではなくて…」
「何?何が不満なの!?」
リーマスが詰め寄る。今にも首を絞めてきそうな勢いである。
「お前ら…大事なことを忘れていないか?僕は男なんだ。つまり、着てもいいが…」
ー…結婚なんてできるのか?
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