Baby Don't Cry 猫&子世代
「…僕にも分からない」
「あれ?セブルスは?」
ロンとネビルが同時に声を上げた。
そうだった!セブルスがどっかいっちゃった!
僕たちは大慌てで辺りを探して、城中を探した。
けれども、セブルスの姿をどこにもなくて、へとへとに疲れた頃、マクゴナガル先生に声をかけられて、校長室に連れて行かれた。
「セブルス・プリンスは昨夜帰ったようじゃ」
ダンブルドア先生がにこにこしながら、僕たちの顔を見回した。
「どこへですか?」
ハーマイオニーが聞いた。
「遠い遠いところじゃ…」
ダンブルドア先生はそう言って、目を細めて、棚をちらりと見た。
僕は視線の先を探った。
棚には大きな砂時計があった。
校長室からの帰り、僕たちは一言も口をきかなかった。
すごく大切な何かが抜け落ちてしまったみたいな寂しさに、ため息が止まらない。
「ハリー」
ルーナが僕の顔を覗き込んでいる。
「縁っていうのは円だよ。必ずつながっている。いろんなものを超えて、時空を超えて、ちゃんとつながってる」
ルーナの大きな目が僕をじっと見上げて、微笑んだ。
どこか自信たっぷりで、僕たちの想像を超えるルーナの言葉が大好きだ。
僕は気持ちを伝えたくて、微笑み返した。
ルーナは僕の教科書を突いた。
「次は魔法薬学の授業だね」
ああ…そうだった。
次は魔法薬学の授業だ。
僕は生まれて初めて、無性にスネイプ先生の顔が見たくなった。
end.
たぬきち様に捧げます
9/9ページ