Baby Don't Cry 猫&子世代
フレッドとジョージが言っていたことがよくわかった。
僕の膝に乗ったセブルスは儚く感じるほど軽かった。
少し骨っぽいほど。
僕は左腕で彼を抱きかかえるようにして、体にもたれさせた。
間近で見ると、セブルスの瞳は本当に漆黒で、澄んでいて、白眼が薄青く見える。
細いせいで、気難しそうに見えるけど、睫毛が長くてすごく綺麗だ。
「あ…ごめん…」
セブルスがわきに置いた本を指差している。
「これが見たいんだね」
僕は右手で本の背表紙を支え、セブルスに開いて見せた。
セブルスは食い入るようにページに描かれた植物を見つめている。やわらかそうな黒髪が顔にかかって、邪魔そうに見えて、僕はそっと彼の髪をすくうと、耳にかけた。
頬が透けるように白くてびっくりした。
セブルスも僕の行動にびっくりしたみたいで、目を見開いて僕を見ると、頬をぱっと赤らめた。
黒い艶のある瞳に僕が映る。
吸い込まれそうだった。
消灯時間になって、みんなそれぞれベッドに入った。
セブルスは空いているベッドを使っていた。
僕はベッドからそっと抜け出して、窓辺に座った。
今夜もあの手紙がやってくる。
フクロウがまっすぐ窓に突進してきて、ガラスを突くんだ。
だから僕は、みんなが起きてしまわないように窓を開けなきゃいけなかった。
自然と憂鬱な溜息が漏れる。外は真っ黒で、月がないせいか、星がすごく綺麗だった。
遠くから赤い手紙を括りつけたフクロウが飛んでくる。
…僕だって人間なのにな…。
胸を抉られるような痛みに蝕まれる。
窓を開けて、立ち尽くす。
死刑囚ってこんな感じなのかもしれない…。
フクロウの顔が見える。
その時、いきなり本が後ろから飛んできて、フクロウに当たった。
「!!!」
僕は驚いて振り返った。
眠ったはずのセブルスが杖を持って立っている。
顔は真っ青で、少しだけ震えて。
「セブルス…?」
「あれは…よくないのだろう…?」
か細い、少し掠れた声がした。
どこか懐かしい甘い声…。