Baby Don't Cry 猫&子世代
ガーゴイルに合言葉を言って、僕たち…ロン、ハーマイオニー、ネビル、ルーナ、それからセブルスと僕は校長室へ通された。
ダンブルドア先生はセブルスの顔を覗き込んで微笑んだ。
青い瞳がいつも以上にキラキラと光って、興味を引かれているのがよくわかった。
セブルスは僕に怯えたように、ダンブルドア先生にも怯えている。
僕は少し嬉しくなった。
ダンブルドア先生はセブルスにそっと呟いた。
「…なるほど…セブルス・プリンスと言うのかね…そうか…君は遠い所から来たようじゃの…心配はいらない…すぐに帰れるよ…」
「あの…先生…?」
ハーマイオニーが首を傾げた。
「うむ…新入生じゃ。ただ、一日か二日だけの生徒じゃ…寮は…そうじゃな、グリフィンドールがよかろう…帰るまでみんな、セブルスにたくさんのことを教えてあげるとよいじゃろう…」
僕たちはまた顔を見合わせた。
一日か二日?たった数日間の新入生。
マクゴナガル先生が、セブルスに新しい制服を持たせた。
セブルスは僕たちの寮の談話室で、たちまちみんなに可愛がられるアイドルみたいな存在になった。
次の日はもう、みんな代わる代わるセブルスを抱っこして、笑わせようとしたり、いろんな魔法を見せたりした。
「おっ!軽い!!」
夜になって、フレッドとジョージがセブルスを抱き上げて、窓の外を見せていた。
セブルスは絨毯に降ろされるとすぐにロンのもとへ走って行った。
僕はそのたびに胸がざわざわして、ロンが何か嫌われるようなことをすればいいのにと思っている自分に気がついた。
気がついて、頭を掻きむしりたくなる。全部、頭の中から零れ落ちてしまえばいいのにと。
ロンは僕の気持ちに気付いていない。だから安心してしまう。
読みもしない、つまらない薬草学の本を広げて、不思議な形の植物を眺める。
気なんて紛れるわけもなくて、よけいに虚しくなった。
その時、セブルスと話をしていたネビルと目が合った。
ネビルが気まずそうに笑う。きっと僕はひどい顔をしていたんだろう。
ネビルはセブルスに何か言って、僕を指差した。
セブルスは僕を見ると、やっぱり頬を染める。そしてネビルを見上げた。
ネビルがしゃがみこんで微笑み、また立ち上がると、セブルスの手を引いて、僕のもとに来た。
僕は本を閉じて、座ったままネビルを見上げた。
「ハリー…たぶんその本、セブルス好きだと思うよ」
ネビルはセブルスの両脇に手を差し入れた。
体を持ち上げるつもりらしい。
僕は慌てて本を閉じてわきに置くと、セブルスを膝に乗せた。