Baby Don't Cry 猫&子世代
「…ッ…セブ…セブルスってあの…?」
「わからないわ、セブルス・プリンスって言うんだもの」
「プリンス…?」
「そうなんだ…スネイプじゃないんだよ…わかんないけど…もしかしたらスネイプの子供だったりして」
ロンは少年の顔を覗き込んだ。
少年は驚いて目をパチパチと瞬かせた。
「王子…というより、お姫様かな」
確かにそんな感じだった。
色が白くて、華奢で、黒髪も肩まであるし、目なんか僕が映るんじゃないかってくらい深い色で綺麗だ。
僕は身を乗り出して少年の顔を見つめた。
「ハリー!怖がっているじゃない」
「…なんでだろうな、僕たちには怯えないのに」
ロンは後ろに隠れてしまった少年を、また身を捩って抱きかかえた。
「別に、怖い顔なんかしていないのに…」
僕はどうしようもなく悲しくなった。
嫌われたり、疎まれるのはダーズリーのところで慣れっこだ。なのに、この少年に怖がられて、すごくショックを受けている自分がいた。
嫌われたくない。この人にだけは嫌われたくない…。
そんな気持ちがざわざわとする。
「あー…ハリー…きっと人に慣れていないだけよ…」
ハーマイオニーが真面目な声で言った。
ロンも頷いている。
「そうだね…」
僕はなんとか笑顔を作った。顔を上げて、ロンとハーマイオニーの目を見て気持ちを引き上げると、少年に微笑みかけてみた。
少年が目を見開いて驚き、みるみる顔が赤くなっていく。
僕は嬉しくなって少年に話しかけた。
「僕はハリー。ハリー・ポッターっていうんだ。よろしくね。君はセブルス?セブルス・プリンス?」
少年は頷いた。
「じゃあ、セブルスって呼んでもいいかな?」
顔を真っ赤にしたまま、少年は小さく首を縦に動かした。
「セブルス…」
ロンとハーマイオニーも僕と同じようにセブルスの名を口ずさんだ。