Baby Don't Cry 猫&子世代
「ハリー!どこ行ってたの?」
テーブルからハーマイオニーが身を乗り出している。
僕は早足でハーマイオニーの前に座った。
笑顔で彼女からグラスを受け取る。
どんなに憂鬱でも、どんなに悩んでいても、近頃は一瞬で違う顔が出せるようになった。
「元気ないわね」
…でも、やっぱり、それは僕の思い込みで、親友には通じなかったみたい。
「うん…ちょっとね…」
僕は苦笑いをしてうつむいた。
その瞬間、膝の辺りに白い顔があった。
僕の顔をじっと見上げている。
「わあああ!!」
僕は思い切り後ろに倒れた。
ハーマイオニーとロンがくすくす笑っている。いや、ロンなんかは爆笑している。
腰の辺りを打って、涙が出そうだったけど、僕はずれた眼鏡を直してまた座ると、ロンの隣を見た。
「ロン!!その…」
指を差してロンの隣で不機嫌そうに座っている少年をまじまじと見た。すると、彼は眉間に小さな皺を寄せて、ロンの袖をつかんで、体を半分隠してしまった。
「ハリー!嫌われてるみたいだな」
ロンは体を捩って少年をきちんと座らせた。
少年は、ロンやハーマイオニーに懐いているみたいで、彼らに話しかけられると、顔を真っ赤にしてうつむいた。
「昼間、見かけたんだ!ロン、ハーマイオニー、その子どうしたの?」
「隠し子よ」
ハーマイオニーの言葉にロンがジュースを噴き出した。
「…ゲホッ…ハー…ハーマイオニー…君、冗談言うんだ…」
ロンが呼吸困難寸前でむせながら胸を叩いた。
すると、男の子がおずおずと自分のゴブレットを差し出した。
「ありがと…ハリー…可愛いだろ?僕たちの隠し子さ」
僕は肩をすくめた。
「ああ…わかったから、その子どこから来たんだい?新入生?」
「セブルスよ」
ハーマイオニーの言葉に今度は僕が噴き出した。
スネイプ先生のファーストネームくらいは知っている。