The Lovers エブマル
「マルシベール…」
「お前も行けよ…」
セブルスは何も言わずにマルシベールの隣に座った。
「初めてだな…お前が夕食を食べないなんて…」
セブルスのわざと冷やかすような声色に、青い瞳が揺れ動く。
「食べないなら持って行こう。場所を変えるぞ」
微動だにしないマルシベールの隣でサンドイッチとかぼちゃジュースをローブのポケットに入れ、二人は誰もいない廃れた階段へ向かった。
「なあ…セブルス…」
「何だ…」
「なんで人を好きになると涙もろくなるんだ?」
冷たい夜風に膝を抱えて、マルシベールは鼻をすすった。
セブルスは黙ったまま口元に笑みを浮かべた。
「さあな…」
「いっつもこうなんだ!!オレばっかり空回りで!あいつはいつも何もなかったみたいに…」
「そんなことないぞ…自分ばかりだと思うな」
「そりゃ…そうだけど…でも絶対オレの方が一人で…オレの方がずっとずっと好きなんだ!!悔しい!!セブルス!!オレは悔しい!!」
「後悔しているのか?」
「…わかんない…ただ、悔しい…」
マルシベールは袖で目を擦った。