The Lovers エブマル
「セブルス…!!」
セブルスはマルシベールを見下ろした。
「どうした?入らないのか?」
静かな声に、マルシベールはうつむいた。
「さっきの勢いはどうした?勝ったこともない、負けたこともない者に言われたくないというあの勢いは…」
マルシベールは唇を噛んで息を吸い込むと、セブルスの顔を見上げた。
セブルスはその瞳を見つめて続けた。
「マルシベール、中でエイブリーが待っている」
「……うん」
マルシベールはしばらく床を見つめた後、顔を上げた。
「セブルス…サンキュ…」
かすかに微笑むと、ドアを開け、薄暗い部屋へ入っていった。
セブルスは静かに息を吐いた。
「ジェームズ…いい加減出て来い」
「なんだバレてたの?」
セブルスの後ろからジェームズが姿を現した。
「相変わらず悪趣味の変態め」
「誉めないでよ」
ジェームズは小声で言うと、セブルスの耳元に唇を寄せた。
セブルスが眉間に皺を寄せて、ジェームズのにやけた顔を睨み付けた。
「ね、今夜はデートの誘いに乗ってくれる?」
甘くささやく声を無視して、セブルスはスタスタと歩き始めた。
「セブ!」
慌てて追いかけたジェームズを横目で見上げる。
「…誘うからにはそれなりの計画を考えているのだろうな?」
「もちろん♪」
ジェームズは満面の笑みでセブルスを抱き締め、軽々と抱き上げた。