ラブレターバード 全員 ヨシダ、弥ち様合作
陽も暮れ、そろそろ夕食の時間。
セブルスは図書室にいた。
普段から図書室には入り浸ってはいるのだが、…最近は利用の目的が少し変化しつつあった。
自分の顔よりも大きな本を四五冊山積みしては、一心不乱に熟読する。
そう、あのしつこいグリフィンドールのバカから逃れる為に…いろいろと護身術を身に付けようとしているのだ。
本日の目的は、寮部屋に奴の侵入を阻止する新たなトラップを仕掛けようと画策中である。
これも平穏無事な私生活を守る為。
セブルスは主張したかった。
…これは正当防衛だと。
「あのバカ…バカのくせして、頭はいいのだ…!」
片っ端から侵入阻止魔法の記載を探しているのだが、やはりどれも生半可なものばかり…。
セブルスにとっては全くもって不愉快極まりないのだが…名ばかりでなく実力も伴ったあの学年主席の前には到底敵いそうにない。
しかし、だからといってあまりに複雑なものだと、同室のマルシベールあたりが引っかかりそうなのだ。
特定の人物だけ、弾けばいい…。
そう、あの眼鏡、眼鏡、眼鏡…だけ!
「こんなんじゃダメだ…くそ…、だめだ、だめだ…!!」
あまりに不穏な空気を醸し出しているせいか、さっきからセブルスのテーブルの周りには人がいなくなっていた。
くっつかんばかりの至近距離で、何かブツブツ呟きながら本を読む姿は…確かに…恐い。
「あー…もう!」
ばたん、とセブルスは書物の山に突っ伏した。
頭の中がぐちゃぐちゃする。
毎日、毎日…こっちはとっくに辟易してるっていうのに、可愛いだか愛してるだか…いい加減聞き飽きたセリフを叫びながらあいつは追っかけてくる。
これはこれでタチの悪い新種の嫌がらせかと、最初の頃は疑ったのだが……。
「はぁぁ……」
うつ伏せのまま、顔だけ横に向けてセブルスは大きなため息を吐いた。
長く伸びたままほったらかしの髪が揺れる。
「ったく、…なんだっていうんだ…」
あの瞳には弱かった。
あのハシバミ色の瞳…。
あの瞳に見つめられると、全身が発火したかのように熱くなった。
そこには疑う余地もない、真剣な眼差しがあって…セブルスは何も言い返せなくなってしまう。
反則だ、とも思う。
あんな瞳をもつあいつは、反則だ…と。