ラブレターバード 全員 ヨシダ、弥ち様合作
「…なるほどな…」
「それ何なんだ?オレのとこに飛んできたんだ」
マルシベールが立ち上がり、エイブリーの手元を覗き込んだ。
「手紙だ」
「そんなのオレだって分かるよ!誰からだろう?…エイブリー!どうしよう!オレ、ラブレター貰っちゃったよ!!」
わしわしと波打つブロンドを掻きむしる。
エイブリーは冷ややかな目でマルシベールを見やると、背もたれに体を預け、足を組み、手紙を見下ろした。
「ラブレターだとは限らない…“想い”だ」
「一緒じゃん」
「お前は何でも恋愛に繋げたがる…」
マルシベールは首を傾げ、エイブリーの組んだ足を解くとその上に座った。
エイブリーが表情を変えずに続ける。
「この手紙には、強い想いを持つ者に吸い寄せられるよう魔法がかけられている。おそらく差出人が相手の心を試したくてやったんだろうが、不完全のようだ…恋愛、それだけでなく、誰かを大切に想う力にも反応する…」
「差出人は?」
マルシベールはエイブリーの手から手紙をひったくると、怪訝そうに眉間に皺を寄せた。
「さあ…八時になれば分かるだろう」
エイブリーは手紙を取り上げ、マルシベールを邪険に膝から下ろすと、窓を開け、鳥を解放した。
「なんだ、オレ宛じゃなくて、単に引っ付いてきただけ?」
「さあ…」
「八時か…」
マルシベールに悪童そのものの笑みが浮かんだ。そして指をポキポキと鳴らしたが、はっとしたように動きを止めた。
「エイブリー…想いに引き付けられるって…あんたのとこにもあの手紙は飛んだよな?」
エイブリーの目が僅かに見開かれた。
マルシベールは初勝利といわんばかりに勢いよく抱きついた。
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