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ラブレターバード 全員 ヨシダ、弥ち様合作


「くそっ!なんで当たらなかったかなあ…」

マルシベールは悪態を吐きながら、ネバネバになった机を拭いていた。
メリー・マクドナルドにアメーバ弾を投下し、見事に外れた。
その罰則として机磨きを命じられた。

「はあ~…今日はエイブリーと森の散策をする約束だったのに…」

予定が罰則で流れたことに腹を立てながら、一人きりという現実に溜息が漏れる。
その時、視界の隅に白い影が横切った。
顔を上げると、白い鳥が自分めがけて飛んでくる。

マルシベールは思わず杖を取り出し、鳥に向けた。
小さな鳩ほどの白い鳥は、攻撃をする様子もなく、じっとマルシベールの大きな青い目を見つめると、くるりと丸まり落下した。

「わっ!…なんだこれ!?」

丸い紙くずが手のひらに収まる。
するとカサカサと広がり、一通の手紙になった。
マルシベールは乱暴に封を切り、手紙を広げた。

『あなたが思っている以上に私はあなたを愛しています。素直に飛び込むことが許されないもどかしさ、それ以上に自分を戒めてしまうこの心に、今こそ終止符を打ちたい。
夜八時に屋上の植物園であなたを待っています。』

手紙を読み終え、差出人が書かれていないことを発見すると、マルシベールの顔が青ざめた。

「誰だこれ…」

もう一度確認しようとした瞬間、手紙は波打つように動き、鳥の姿に戻った。

マルシベールは軽くジャンプをして舞い上がろうとした鳥をむんずと掴んだ。
そしてバタバタと暴れる鳥を鷲掴みにしながら、教室を飛び出した。


「エイブリー!!エイブリー!!」

息せき切ってマルシベールが部屋に飛び込んできた。

エイブリーは羊皮紙を広げ、書き物の最中だった。

「やかましいな…罰則は終わったのか?」

抑揚のない声で言いながら、羽ペンにインクを浸している。

マルシベールは大きく深呼吸をした。

「なあ…エイブリー、今日の午後八時、出かける予定ある…?」

「ない」

即答だった。エイブリーはマルシベールに嘘はつかない。
マルシベールはへたり込んだ。

「だよな~…あ~よかった…あんたがこんな手紙書くはずないよな~…書いたらこえーよなあ…ってか、じゃあ誰からだ…?エイブリー!!!」

「何だ…いちいちやかましいな…」

エイブリーは上半身を捻り、マルシベールを見下ろした。

右手で掴まれた鳥がバタバタともがいている。
その青い目がエイブリーの切れ長の目を見た。

「あ…」

鳥はマルシベールの手をすり抜け、エイブリーに向かって飛んだ。
エイブリーの手に手紙が渡る。

エイブリーは文面に目を通し、再び丁寧に折ると、鳥に戻らないよう指できっちり押さえた。
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