ラブレターバード 全員 ヨシダ、弥ち様合作
植物園の中央には、それなりに大きい噴水がある。
この植物園がいつからあるのかは誰も知らないが、この噴水も植物園と同じようにそれなりの年月を経ていることがよく分かった。
くすんだ乳白色は夜が更けるのを待っていたかのようにぼんやりと暗闇に浮かび上がって、丸い円周の中央には、名も知らない石像の女神が水瓶を持って立っていた。
水瓶からはとめどない水がさらさらと流れ落ち、いかにも幻想的な雰囲気に溢れている。
しかし、午後8時数分前、そんな幻想的な雰囲気は一瞬にして掻き消えた。
「セーブルスー!!!」
奇声とも言える絶叫が中央広場に響き渡る。
ばったりと噴水の目の前ででくわした7人がそれぞれ対峙していた。
奇声を向けられたセブルスだけがみるみる青ざめて隣に立っていたリーマスの背中に隠れた。
「やーっぱり、オレたちの他にも誰かいたってわけだな!!」
謎の迷彩服に包まれたマルシベールが出し抜けにそう言った。
「リーマス!お前いたのかよ…!……お前に最初に会っていれば…」
シリウスは未だ何かを引きずっているらしい。
一方険しい顔でレギュラスは兄を見つめている。
「セブルスー会いたかったよー!!」
「う、うるさいっ!寄るな!来るな!近寄るな!」
「なに言ってるんだよー!今夜も可愛いなぁセブルス~」
「ジェームズ…、セブルスが怯えてるよ」
リーマスの背中に隠れてセブルスは徹底抗戦の構えのようだ。
言うまでもなくジェームズの方は至極ご機嫌な様子。
「お前たちも、白い鳥の手紙を読んでここに来たんだな」
我関せず、と一人無表情のエイブリーが淡々と言った。結局、この場には手紙の受取人はいても差出人は一人もいないことになる。