ホグワーツの怪談 全員
「フ…フフフフ…俺だっていつまでもやられっぱなしじゃない…」
低い声で笑うと、杖をしまい、セブルスに自ら歩み寄った。
立ち尽くした痩身の白い手首を掴み、持ち上げる。
肩を抱き寄せ、細腰に腕を回し、抱き上げてみる。
シリウスは柔らかな黒髪に唇を寄せ、指で梳いた。
その時、背後で何かが動く気配と、カタリという音がした。振り返ると、教室の隅に大きな木箱があった。
「そっちか…」
シリウスはしなやかな痩躯をもう一度抱き締め、その抱き心地を充分に味わうと体を離した。
杖を出し、箱に向ける。
その瞬間、背後から手が伸び、シリウスの胴を掴んだ。
「……?」
シリウスはさっきまで抱いていた白い手を見下ろした。
「…馬鹿め…あっちがボガートだ」
セブルスの指先が大きな箱を示した。
シリウスが固まった。
「じゃあ…お前…」
「本物だ…」
シリウスは苦悩に満ちた悲鳴を上げ、卒倒した。
「ふう~…相変わらず学習能力がないな…」
セブルスはシャツのボタンを閉めた。
「スリザリンは勝つためなら手段は選ばない…最も、本当に手を出してきたら吹っ飛ばしていたが…さて、次はジェームズか…」
セブルスは箱を開け、霧のように飛び去るボガートを見送った後、シリウスをまたぎ、階段を上った。