ホグワーツの怪談 全員
二人はしばらく無言で見つめ合った。
「リーマス・ジョン・ルーピン…」
エイブリーが抑揚のない声で呼んだ。
リーマスは無言で頷いた。
「医務室でよく会うね…外で…会うのは初めてかな…?」
「ああ…たぶんそうだろう…」
リーマスはエイブリーの切れ長の目を鋭く見据えながら緊張した笑みを作った。
エイブリーはリーマスの琥珀色の瞳を観察するように見下ろした。
リーマスが努めて落ち着いた声を出した。
「…君がこんなゲームに参加するなんて意外だった…」
エイブリーが口元に笑みを浮かべた。
「俺も意外だった…マルシベールのような馬鹿に会って、結構楽しんでいる…」
静かに言うと、おもむろに杖を出した。
リーマスもそれに合わせて杖を抜いた。
「リーマス・ジョン・ルーピン…」
エイブリーが杖を軽く上げて言った。
「本来、こういったゲームに参加する性質ではないが…それでも俺は勝たないといけないらしい…これも宿命だ」
エイブリーの杖の先に、黒く薄い円盤が浮いた。
リーマスが杖を握り締め、身構えた。
黒い円盤には繊細な溝が刻まれている。
レコードのようだった。
エイブリーはそれを弾くように杖で一叩きした。
円盤からリーマスの声が聞こえてきた。
『…ちょッ…やだ…シリウス…こんなところで…』
『たまには場所を変えたいって言ったのお前だぜ…』
『だからって…こんなッ…んッ…あッ…あッ(以下自重)』
「わああああああ!!!!」
いかがわしい声に、先ほどの下級生が振り返る。
リーマスは顔を真っ赤にして絶叫した。