ホグワーツの怪談 全員
「は?肝試し?」
シリウスが振り返った。
教壇ではビンズ先生が流れるように年表を読み上げている。
生徒たちは退屈そうに呆けたり、眠りこけたり、ゲームをしたり、ほぼ自習のような状態になっていた。
シリウスは親指を立て、背後で教鞭をとるビンズ先生を指差した。
「ゴーストなんて見慣れてるぜ」
「VSスリザリン」
ジェームズが羊皮紙を広げながら言った。
スリザリンと言う言葉を聞いて、シリウスの表情が変わった。
「果たし状だね」
リーマスが羊皮紙を覗き込んで言った。
ピーターもシリウスの隣で振り向き、恐る恐る羊皮紙を見つめている。
「誰からだ??」
シリウスが声を低くした。
「マルシベール、エイブリー、セブルス…たぶんエイブリーとセブルスは付き合いだ。中心はマルシベールだろうな…」
ジェームズは口元に笑みを浮かべて文字をなぞった。
「セブルスが参加するならやりがいがあるよ。何しろ僕の恋人とバトルだなんて!」
「バトル?」
ピーターがジェームズを見上げた。
「そう…ルールは簡単だ。僕たち四人とスリザリン三人が各階でバトルをする。バトルといっても決闘じゃなくて、あくまで肝試し。相手に悲鳴を上げさせれば勝ち。勝った者が最上階へ行き、使われていないA通路に置かれた松明を手にする」
「人数が合わないぜ…痛ッ!!!」
シリウスの後頭部にクソ爆弾が直撃した。
ピーブズが笑っている。
「てめえ!!」
シリウスは立ち上がり、ピーターのインク瓶を投げつけた。
ピーブズはそれを器用に避け、舌を出した。
「でも…誰と誰がバトルするんだろう…?」
ピーブズと戦い始めたシリウスを無視し、三人は額を寄せ合った。
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