幸せの黒い犬 犬狼
「ジェームズ!気付かれているかもしれない!」
シリウスがジェームズの前に座るなり言った。
ここは誰も使っていない汚い教室。ジェームズ、シリウス、ピーターはそこでリーマスが消える数日間を使って、人狼について、狼に変身しても傍にいられる方法などをリーマスに極秘で進めていた。
「気付かれているって、まさか僕がセブルスのことを好きなのがみんなにバレて…」
ジェームズは真剣に言った。
「ジェームズ…俺がよくリーマスに言われる血の気の多さは、お前のおかげかもしれないな…」
シリウスは口元をピクピクと引きつらせながら、ジェームズの胸倉を掴んだ。
「ああ、ごめんごめん」
ジェームズが降参する。
「気付かれているって、ここの教室を使っていること…?それともリーマスに僕たちがしていることを…?」
場を取り持つようにピーターが気を利かせる。
シリウスはジェームズを放すと、机の上に座り、足を組んだ。
「リーマスだ」
シリウスが言った。
「リーマスは俺たちが人狼について調べていること、リーマスがそれだと気付いていることに感づいている…」
ジェームズは思わずシリウスに詰め寄った。
「まさか、僕たちがしようとしていることも…?」
「いや、それはない…たぶん」
シリウスが腕を組んで考え込むように言った。
「もし、俺たちがアニメーガスについて調べていることが分かったら、すぐに止めてるはずだ…でも」
シリウスが顔を曇らせた。
「なら、大丈夫じゃない?」
ピーターが焦りながら聞いた。
「でも、最近リーマスの様子がおかしい…」
シリウスは喉に何かが詰まったように苦しげに言った。
ジェームズもピーターも黙った。
1/5ページ