きらきら☆ 鹿猫


「セブルス、僕もあーん」

ジェームズがたまらず口を開けた。

「馬鹿か貴様は」

青虫は興味深そうにジェームズを見上げている。

セブルスは頬を染めながらレタスをちぎると、ジェームズに突き付けた。

ジェームズはそれを嬉しそうに頬張り、ついでにセブルスの指に口付けた。

セブルスが顔を真っ赤にしながらジェームズの頬を思い切り打った。そして勢い余って、青虫の頭まで叩いてしまった。

「痛~!あ~…ほら、青虫が恐がってる…」

ジェームズは頬を押さえ、涙目で訴えた。

青虫はぷるぷる震えている。

セブルスは腹立たしげに息を吸い込んだが、白い手で青虫の頭をそっと撫でた。ジェームズも頭を突き出したが、バシリと叩かれた。

「えこひいき~…」

ジェームズは青虫に寄り掛かった。

「あ!セブ!こいつに乗ってみたい!」

突然思いついたらしく、勢いよく立ち上がった。

セブルスはレタスを折っている。

「やめておけ、乗ると口からレタスが出るぞ」

「…なんで知ってるの?」

「……………」

「…もしかして、やった?」

せっせとレタスを折るセブルスの頬が赤い。


「やったんだ~かわいそ~」

「い、いや、だから代わりに!」

ニヤニヤと自分を見下ろすジェームズに、セブルスはピンク色のリボンを指差した。
どうやらお詫びの印にリボンをかけてやったらしい。

ジェームズは大笑いしながらリボンを撫で、青虫の体を叩き、また笑い転げた。

セブルスは下を向きながらレタスを折り、青虫に与えた。

ひとしきり笑ったあと、ジェームズが寝転んだ。


「はあ…笑い疲れた…」

右手を伸ばし、レタスを食べる。

空は抜けるように青かった。


「ねえ、セブ…」

「なんだ…」

「空と海、どっちが青いのかな?」

「さあな…」


セブルスは微笑み、レタスを青虫に差し出したが、青虫は気持ち良さそうに眠っていた。

膝をついて体を伸ばし、その向こうにいるジェームズを見ると、同じように目を閉じている。


「セブ…」

目を閉じたまま笑みを浮かべ、手を差し出す。

セブルスは吸い寄せられるように手を伸ばした。

ジェームズがその手を握り、引き寄せる。



のどかな午後、二人と一匹の寝息が重なった。





end
佳様に捧げます
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