Rainbow 鹿猫


「僕って人気者でしょ?体が一つじゃ足りなくてさ、リーマスに頼んで僕に成り代わってもらったんだ。今日は、僕は君と過ごしたいからね…」

跳ねた髪を撫で付けながら、ジェームズはセブルスに笑いかけた。

セブルスがじりじりと後ずさりした。

「どうしたの…?」

ジェームズがセブルスを抱き寄せようとする。

「いや…いい…」

「何が?」

ジェームズはセブルスの不自然さに気が付いた。

ローブの袖に手が通っていない。
しっかりと合わせられた前身ごろの中に両手があるようだった。


「手…どうしたの?」

「いや…何でもない…」

セブルスはくるりと背を向け、歩き出そうとしたが、ジェームズがすばやくその身体を捕まえた。


「…怪我?もしかして…」

ジェームズが本気でセブルスの両肩を掴み、振り向かせる。

「違う!!」

抗うセブルスを無視し、ジェームズはローブを開いた。


真っ赤なリボンに縛られた両手…。


ジェームズが固まった。


「誕生日だ…ポッター…」

目を逸らしながら呟いたセブルスの言葉にジェームズは卒倒した。


「セブ!!!」

一瞬で蘇生したジェームズがセブルスを抱き締めた。


「最高だよ!!最高のプレゼントだよ!!!」

額に、瞼に、鼻先に、頬に、耳に、そして唇に、ジェームズは夢中でキスを贈った。


「やめッ…やめろジェームズ!!」

セブルスが赤面しながら、リボンで拘束された両手で胸を叩く。

「さあ行こう!!!」

ジェームズはセブルスを抱き上げると、食堂へ駆け込んだ。

セブルスが怒声を上げる。
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