Rainbow 鹿猫
セブルスはベッドに腰掛け、時間割りに目を通していた。
グリフィンドールとの合同授業がないことを確認し、安堵の溜め息をつく。
「セブルス飯は~?」
乱暴にドアが開き、マルシベールが入ってきた。
セブルスはマルシベールをちらりと見たあと、時間割りを畳み、鞄にしまいこんだ。
「今日はいい…」
「ポッターだろ?ほら、食えよ!」
マルシベールが抱えていた紙包みを押し付けた。
セブルスが膝の上で紙包みを広げ、眉間に皺を寄せた。
サンドイッチとかぼちゃジュースを包んでいた紙は、今朝自分が扉から剥がしたグリフィンドールカラーの貼り紙だった。
マルシベールがにやにや笑っている。
「…どこでこれを?」
「至る所にある」
エイブリーの静かな声に、セブルスとマルシベールが顔を上げた。
エイブリーの手には、マルシベールが破り取った貼り紙が何枚も折り重ねられていた。
セブルスは腹立たし気に息を吐いた。
「それで全部か?エイブリー」
セブルスがうんざりしたように聞いた。
「今のところはな…」
手にしていた貼り紙をマルシベールに渡しながら、エイブリーは椅子に座った。
「で?セブルス、今日のご予定は?プレゼントとか用意した?」
茶化しながらマルシベールがエイブリーの膝に座る。
「マルシベール、椅子に座れ」
「ちぇ~これだよ…」
エイブリーを横目で見ながら、マルシベールは椅子の背もたれを抱き締める形で逆向きに座った。
「で、セブルス?」
「予定も何もない。いつも通りだ」
マルシベールは腕を伸ばし、セブルスが手にしているサンドイッチからチーズを引き抜いた。
「お前はやけにこだわるな?あんなに反発していたのに」
セブルスがマルシベールの手をはたき、チーズを二つに割いて渡した。
「まあね。昨日今日始まったことじゃないし、飽きた。それより、セブルスが何をするのかが楽しみだ」
恋人の誕生日に贈るもの。
セブルスは俯いた。
ここ数週間、ずっと悩んでいたことだった。
「何も思い付かなかったんだろ?」
見事に言い当てられ、セブルスはまともにマルシベールの顔を見てしまった。
驚くほど青く大きな目がじっと見ている。