Rainbow 鹿猫
「フ…フフフフフ」
ジェームズがスープに顔を近づけ、一人で笑っている。
眼鏡が蒸気で曇り、にやけた目が隠れているが、かえって異様な不気味さが漂ってしまっていた。
「恐えぇ…」
シリウスが呟いた。
「まあ…理由は分かるよ…」
リーマスも呟いた。
溜め息をついた二人のもとにピーターが走ってきた。
ジェームズがガバッと体を起こし、ピーターに笑いかけた。
「OKかい?」
ピーターが息をきらしながら頷いた。
「なんだよジェームズ?」
シリウスがピーターを見やりながら聞いた。
「うん!今日は僕の誕生日じゃない?だから屋敷しもべ妖精にご馳走を作らせて、あの部屋に運ばせる手筈を整えたんだ!」
ようやく朝食にありついたピーターを眺めながら、リーマスが周囲を見回した。
「ねえ、ジェームズ、分かっていると思うけど、君一応人気者なんだよね。夜までに空くかな?」
すでにジェームズをちらちらと見ながら、何かを相談している可愛らしい女子生徒があちこちに見える。
「ま、ジェームズ!お前が食われても、俺たちは勝手にパーティを始めてるぜ!」
シリウスが悪戯っ気を含ませて、リーマスの肩を抱き寄せた。
「大丈夫さ!僕の体も心も今日のみならず、いつだって愛するセブルス・スネイプのものさ!たとえ僕がクィディッチのヒーローで、今日という日が王様としてもてはやされても、あのささやかな横断幕でたくさんの可愛い支援者たちが僕を祝ってくれても、セブルスのために用意した時間はたくさんある!!…って、あれ?シリウス?リーマス?」
ジェームズの前には誰もいなかった。