Rainbow 鹿猫


1960年3月27日



「アイリーン!アイリーン!」

トビアスがドタドタと部屋に入った。

「あなた!さっきの音は!?」

「カーテンレールが落ちた」

「また!?先々月直したばかりじゃない?」

アイリーンは泣きじゃくるセブルスを抱き上げ、背中をやさしく叩き、揺すりながら、トビアスを見上げた。

「それだけじゃない!」

トビアスはアイリーンを促した。
泣き続けるセブルスを今度はトビアスがあやす。

二人はセブルスを抱きながら各部屋を回った。

カーテンレールが落ちた部屋はまだよかった。

落ち着いた緑色のカーテンはすべて悪趣味なまでの極彩色に変わっていた。



「…ひどいわね」

「最悪だ」




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