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One Love 鹿猫




……気持ちいい……

セブルスはふわふわする頭で身体を丸めるように温かな感覚を楽しんでいた。

誰かが頭を撫でている。それが心地よくて、肩にかけられた上着に顔を半分隠すようなしぐさで身体をすり寄せた。


ー……ジェームズの匂いがする…声が聞こえる……歌?……歌っている…?…ジェームズが歌っている……

セブルスは覚醒しつつある頭でぼんやりと耳をすませた。声は押し当てたジェームズの身体を伝わって、波のように耳に届いた。


辺りが薄暗くなる中、ジェームズは上着をセブルスにかけ、空を見上げながら歌を口ずさんでいた。


空はやわらかな青を深めながら、わずかな夕日が雲をピンク色に染めている。

セブルスは目を閉じたまま、ジェームズのかすかな歌を感じながら考えていた。

ー…聞いたことのない歌だ…そう言えばこいつの両親は魔法使いだったな…たぶん僕の知らない古い歌なのだろう……落ち着くな…この感じ…そうだ…あの呪文…セクタム・センプラの傷を癒す呪文に使おう……ー

目を閉じたまま、そんなことを思った。よく眠ったせいか、気持ちがいい。それともジェームズのぬくもりが気持ちよいのだろうか…?
セブルスは急に恥ずかしくなった。それと同時にもう少しこのままでいたいとも思った。

その時、ジェームズの腹が空腹を訴え、鳴いた。セブルスは思わずぴくりと動いてしまった。

ジェームズはそれでセブルスが寝たふりをしていたことに気が付いた。嬉しさがこみ上げてきて、クスクス笑う。

「セブ…」

ジェームズが呼びかけた。

セブルスは顔を真っ赤にしながら、急いで起き上がろうとしたが、ジェームズが身体を手で押さえ、そっと囁いた。

「もう少しこのままでいさせて…」
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